研究課題/領域番号 |
21K19179
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山内 啓太郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70272440)
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研究分担者 |
村田 幸久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40422365)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 脂肪分化 / 細胞老化 / 筋ジストロフィー / 脂肪交雑 / 脂質 / 間葉系前駆細胞 / p16 / 筋細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
家畜でみられる「霜降り(脂肪交雑)」と筋ジストロフィーやサルコペニアといった筋疾患でみられる筋肉内脂肪細胞の出現は、ともに脂肪分化能をもつ間葉系前駆細胞を起源としていることから共通した機序の存在が想定される。しかし、生体内で実際に脂肪細胞の分化を直接引きおこす真の因子については明らかではない。本研究では『筋細胞の老化が脂肪分化誘導作用をもつ脂質分子を介して周囲の間葉系前駆細胞の脂肪分化を誘導する』という仮説を検証し、脂質を網羅的に探索可能なリピドーム解析を利用して真の脂肪分化誘導作用をもつ脂質分子を同定する。
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研究成果の概要 |
筋肉内の脂肪細胞蓄積のメカニズム解明を目的とし、筋細胞の老化が脂肪分化誘導作用を持つ脂質を介して間葉系前駆細胞の脂肪分化を誘導するという仮説を検証した。MyoDを抑制した骨格筋由来の初代培養系で脂肪細胞の出現と細胞老化因子の発現増加を確認し、ホモ化MyoD-GFP/DMDラットで筋肉内脂肪蓄積の顕著な増加を観察した。さらに、空間トランスクリプトーム解析により、脂肪分化誘導因子を産生すると思われる細胞の局在を明らかにし、特定の間葉系前駆細胞が脂肪分化を誘導する可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、筋細胞の老化が脂肪細胞分化に与える影響とそのメカニズムを解明し、筋肉内脂肪細胞蓄積の新たな知見を提供した。MyoD抑制による筋細胞老化と脂肪細胞分化の関連性や、脂肪分化誘導因子を産生する細胞の局在を明らかにしたことは、筋疾患や加齢による筋機能低下の理解を深化させる重要な発見である。さらにこの研究成果は、筋ジストロフィーやサルコペニアなどの筋疾患の治療法開発に寄与する可能性がある。また、家畜における霜降り肉の形成メカニズム解明にも貢献し、畜産業の品質向上や効率化に寄与することが期待される。
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