研究課題/領域番号 |
21K19200
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柴田 穣 東北大学, 理学研究科, 准教授 (20300832)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 単一分子分光 / RNAプローブ / 光化学系修復 / 励起スペクトル / 過渡的中間体 / 蛍光寿命 |
研究開始時の研究の概要 |
分子量数10万を超える光合成タンパク質が新規合成される際に、100を超える色素分子がどのように所定の部位に挿入されるのか、その機構は謎に包まれてきた。合成直後の光合成タンパク質複合体は過渡的に存在する不安定な分子種であることが、その解析を極めて困難にしてきた。本研究では、光合成タンパク質のmRNAの相補鎖に蛍光色素を結合したRNAプローブを用いて、リボソームを介してmRNAとの結合を維持している合成途上複合体を検出し、そのクロロフィル蛍光寿命や励起スペクトル測定により色素の機能解析を行い、これまで手付かずであった光合成タンパク質の合成途上複合体の解明を飛躍的に推進し、新たな学術を切り拓く。
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研究成果の概要 |
強光により損傷と修復を繰り返すことが知られる光化学系II(PSII)について、そのAssembly中間体をRNAプローブを用いて検出することを試みた。モデル生物である緑藻クラミドモナスを研究材料とした。PSIIで修復過程の対象となるのは、D1と呼ばれる複合体中心部のサブユニットであり、そのmRNAの相補鎖となるRNA断片にAlexa555を蛍光標識したRNAプローブを作成した。強光に晒した後弱光で30分インキュベートしてD1修復を活性化させたクラミドモナスからチラコイド膜を単離しRNAプローブを添加した。その結果、Alexa555の蛍光が検出されたことから、本手法の有効性が確認された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
光合成タンパク質のAssembly過程の解明は、光合成研究において未だ解明されていない難問の一つである。水から電子を引き抜く過程は、分子に大きな酸化力の実現を要求し、同時に大量の酸素分子を発生させる。高い酸化力が内在することや、反応性の高い酸素分子が大量発生することは、どちらもタンパク質の損傷の原因となる。こうした困難な状況をやり繰りするため、生物は壊れないタンパク質を進化させるのではなく、壊れても迅速に修復が可能となるシステムを進化させた。人工の新規タンパク質を設計し合成することが可能となりつつある現代において、光合成系の修復機構解明は人工光合成を実現させる上でも示唆に富むものとなる。
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