研究課題/領域番号 |
21K19202
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田村 宏治 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70261550)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 異種間胚盤胞補完法 / 器官サイズ / ジャイアントダニオ / ゼブラフィッシュ / 胚盤胞補完 / 異種間キメラ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、異種間胚盤胞補完法を魚類に応用し、サイズ感知メカニズムの解明によって動物種固有の器官サイズ創出機構を理解する。この目的のために、体サイズの異なる2種の魚類を用い、とくに胸鰭をモデルとする。動物形態の多様性創出という動物学の根本命題の一つ、とくにサイズ感知メカニズムや器官サイズの種間差成立の仕組みを明らかにする。異種間胚盤胞補完法(別種の動物に器官を作らせる)を魚類に適用し、特定の細胞種を欠失させたり、特定の分子カスケードを機能欠損させた上で異種の細胞で保管することで、動物種固有のサイズを感知して器官サイズを一定にする仕組みを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、動物種固有の器官サイズ創出機構を理解することを目的に、魚類の胸鰭をモデルとし、異種間胚盤胞補完という方法を用いてアプローチする。異種間胚盤胞補完技術は、ほ乳類の初期胚を用いて確立された、別種の動物に器官を作らせる夢のある技術である。この方法を用いると、たとえばラット由の膵臓をもったマウスを発生させることができる。このとき興味深いのは、本来ラットの膵臓はマウスの膵臓より大きいにもかかわらず、マウス個体に作られたラット膵臓はマウス(宿主)のサイズになる。本研究では、さまざまな実験操作が容易かつ短期間にできる小型魚類に異種間胚盤胞補完法を適用し、個体サイズの異なる比較的近 な淡水魚種間の胚盤胞補完によってサイズ感知と器官サイズ調節のしくみを明らかにする。 本年度は、ゼブラフィッシュと大型の近縁種であるジャイアントダニオを長期飼育することに成功した。そこで、ゼブラフィッシュとジャイアントダニオを用いて器官サ イズと体サイズの関係を調べ、定量化した。その結果、両種において胸鰭のサイズと形態に相関が見られるのが一定の期間のみであることが新たに判明した。これにより、両種間の移植をした場合に、体サイズと器官サイズの関係を議論することができるが、各器官サイズを定量的かつ経時的に計測する必要があることがわかった。 一方で、胚盤胞補完に向けて、injection操作の習得と実践、蛍光試薬を用いたゼブラフィッシュ初期胚の可視化、ヒレ欠損系統(fgf24KO)の系統化・確立、を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小型魚類モデル生物であるゼブラフィッシュが属する骨鰾類(コイ目コイ科)の近縁種で体サイズが著しく大きいジャイアントダニオ(Devario malabaricus)の長期飼育環境を整えた。 ジャイアントダニオについては、個体サイズと器官(胸ビレ)サイズさらに胸ビレの形態との相関を詳細かつ定量的にに調べることができた。胚盤胞補完のための器官欠損系統が準備でき、移植技術も会得しつつあるので、おおむね順調に研究課題は進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
体サイズの異なる二つの魚種の器官サイズと飼育条件との関係についてさらに詳細な解析を行い、できればゼブラフィッシュとジャイアントダニオの2種で胚盤胞補完実 を推進す る。必要であれば別の魚種を 討する。また、すでに入手済みである免疫寛容系統(rag1 異体、rag1V311fs)と系統化済みであるfgf24 異体(crispant)を用いて宿主ゼブラフィッシュを作出し、移植実験を推進する。
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