研究課題/領域番号 |
21K19205
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 邦律 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (20373194)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | オートファジー / 出芽酵母 / オートファゴソーム / 緑色蛍光タンパク質 / 温度感受性 / 高温感受性 / 液-液相分離 / 細胞内コンパートメント / 非膜オルガネラ |
研究開始時の研究の概要 |
アミノペプチダーゼⅠ(Ape1)は、GFPを融合することで、高温培養時に液-液相分離が解除され、機能を失う。液-液相分離により機能を発揮するタンパク質を探索するために、出芽酵母の各遺伝子がコードするタンパク質のC末端にGFPを融合した4,100種類余りの株のコレクションを使用し、特に生育に必要な必須遺伝子に注目して、高温感受性の株をスクリーニングする。私が知る限り、液-液相分離を介して機能するタンパク質を網羅的に探索する研究は行われていないので、大いに挑戦的ではあるが、候補遺伝子を特定することができれば、生命科学全体への大きな波及効果が期待できる。
|
研究実績の概要 |
当研究室では共同研究を通じて、選択的オートファジーの基質である、Ape1複合体が液-液相分離により形成される構造体であることを示した(Yamasaki et al., Mol. Cell, 2020)。また我々は最近になって、Ape1にGFPを融合することで高温培養条件下の液-液相分離が阻害され、Ape1複合体形成が不能となる現象を見いだした。本研究課題では、GFPを融合するとタンパク質の活性が温度感受性になる現象が他のタンパク質にも適用可能であることを調べることを目的としている。 出芽酵母の生育に必須な遺伝子を破壊すると致死となる。こうした遺伝子は“必須遺伝子”と呼ばれる。上述のように、同様に必須遺伝子にコードされたタンパク質にGFPを融合すると、高温条件下で相分離が起こらなくなり、活性を失う、つまり致死となる可能性を想定した。出芽酵母では、各遺伝子がコードするタンパク質のC末端にGFPを融合した4,100種類余りの株のコレクションが存在する。初年度の研究では、これらの株を寒天培地にて培養し、高温で生育が悪くなる株をスクリーニングした。 初年度の研究で、4,100種類の株の一次スクリーニングが終了し、556種類の株が高温感受性の生育を示すことが明らかとなった。本年度はスポッティングアッセイによる二次スクリーニングを終了し、119株が強い表現型を示し、162株が弱い表現型を示すことが明らかとなった。現在強い表現型を示す株を用いて温度変化によるタンパク質の局在変化を蛍光顕微鏡を用いて調べている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はスポッティングアッセイによる二次スクリーニングを終了し、強い表現型を示す株を119種類、弱い表現型を示す株を162種類得た。現在強い表現型を示す株を用いて温度変化によるタンパク質の局在変化を蛍光顕微鏡を用いて調べており、興味深い局在変化を示す候補株が複数得られている点を評価している。
|
今後の研究の推進方策 |
蛍光顕微鏡観察を完了し、高温暴露によりタンパク質の局在変化が生じた株について、表現型を抑圧する変異体を得ることで、その分子機構を探る。また候補遺伝子をGene Ontology解析を行い、高温が影響を与えやすい細胞内経路を探索する。これまで、生物が高温で成育できないのは、タンパク質が変性することが大きな原因であるとされてきたが、生育に必須なタンパク質の局在に異常が生じることがひとつの要因なのかもしれない。
|