研究課題
挑戦的研究(萌芽)
Deferoxamine (Dfo) は、鉄過剰症の治療薬として用いられている鉄キレート剤である。これまで私たちは、Dfoを含む培地でマウスES細胞を24時間培養すると、ヒストンH3の9番目のリシン(H3K9)をはじめとするヒストンH3のメチル化レベルが大幅に亢進すること、さらにDNAのメチル化レベルも有意に亢進することを見出した。本知見に基づき、妊娠期のマウスにDfoを投与し、一過的に鉄が欠乏した状態にした際に、胎仔のゲノムインプリンティングの消去と性決定が正しくおこなわれるのかについて明らかにする。
DNAやヒストンの脱メチル化を触媒する酵素反応(酸化反応)には、二価鉄(Fe2+)が必須である。私たちは過去に、胎仔(児)期におきる性決定は、Fe2+要求性のヒストン脱メチル化酵素が深く関与することを見出した。さらに最近、培養細胞のレベルで、培地の鉄量がヒストンの脱メチル化を律速することを見出した。このような知見に基づき、妊娠期の母体の鉄の代謝変動が胎仔エピゲノムに及ぼす影響をマウスモデルで検証する。
本研究は、鉄過剰症の一般的な治療薬として用いられている鉄キレート剤が生体内のエピゲノムを変えてしまう可能性を検証する。最近では、DNA/ヒストンのメチル化は配偶子のゲノムを介して複数の世代にわたって安定に継承される、との実験結果も数多く報告されてきている。本研究は、鉄代謝関連疾患に対する既存の治療方法の抜本的な見直しを迫るとともに、その新たな(= 安全な)治療方法の開発へとつながる可能性を秘めている。
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