研究課題/領域番号 |
21K19257
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大澤 志津江 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (80515065)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 細胞競合 / スーパーコンペティション / がん / ショウジョウバエ / がん微小環境 / 細胞間相互作用 / がん制御 |
研究開始時の研究の概要 |
がんの発生やその進展において、細胞間相互作用により構築されるがん微小環境が重要な役割を果たすことが近年分かってきた。そして、このようながん制御の“場”の性質を規定する因子として、細胞同士の敵者生存競争「細胞競合」が注目されつつあるが、その分子実体はいまだ不明な点が多い。本研究では、ショウジョウバエ上皮をモデルとした生体レベルでの解析を展開し、細胞競合が「がん微小環境」の性質を規定・制御する遺伝的基盤の理解を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、がん原性細胞が周辺細胞を駆逐しながら競合的にその領地を拡大する“スーパーコンペィション”の分子機構を明らかにする、ショウジョウバエをモデルとした2種類の遺伝学的スクリーニングを実施した。第1の遺伝学的スクリーニングで単離された変異体の解析を進めた結果、がん原性細胞が隣接した周辺細胞に対してオートファジーを誘導し、細胞死遺伝子hidを介した細胞死を誘発する現象が、その領地を拡大する上で重要な役割を果たしていることが分かった。また、第2の遺伝学的スクリーニングでは、がん原性細胞の周囲の正常細胞で機能する責任遺伝子として、機能未知の遺伝子が同定され、その遺伝子の機能解析を現在進めている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん原性細胞が正常細胞を駆逐しながらその領地を拡大する“スーパーコンペティション”は、がん促進を担う重要なファクターとして近年大きく着目されているが、その分子実体はほとんど分かっていなかった。本研究において、ショウジョウバエをモデルとした網羅的な遺伝学的解析を実施することで、組織に生じたがん原性細胞が、周辺細胞に対してオートファジーを介した細胞死を誘導するという新規メカニズムが明らかとなった。今後、オートファジーが誘導されるメカニズムをさらに解析し、進化的保存性を検証していくことで、正常細胞をターゲットとしたがん治療の開発につながる可能性が期待される。
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