研究課題/領域番号 |
21K19292
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
茂木 正人 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50330684)
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研究分担者 |
立花 愛子 東京海洋大学, 学術研究院, 博士研究員 (00836843)
若林 敏江 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (80392918)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 食物網 / 季節海氷域 / 初期生活史 / 海氷 / マリンスノー / 南大洋 / サメハダホウズキイカ科 / ナンキョクスカシイカ / Galiteuthis glacialis / 胃内容物 / 形態発育 / 海洋生態系 / 食性 / 中深層 / 頭足類 / 南極海 |
研究開始時の研究の概要 |
南極海に生息するナンキョクスカシイカ稚仔の初期生活史を明らかにし,その他の中深層性生物の稚仔とともに集中して分布する海域の,生物学的な意義を解明する.具体的にはナンキョクスカシイカ稚仔の1)形態発育,2)分布様式と環境,3)食性の解明,の3つの課題に取り組む.海洋観測とナンキョクスカシイカの採集は、東京海洋大学「海鷹丸」の航海で実施する。1年目と2年目に東経110度ライン上の南緯55度以南の海域で、大型リングネットと大型開閉式ネットMOHTを用いて実施する。同海域で過去に得られたサンプルも用いる.最終年度は主に成果の取りまとめを行う。
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研究成果の概要 |
ナンキョクスカシイカParalarva期からJuvenle期にかけての外部形態の発育と食性の変化を詳細に調べた.胃内容物は大半が不定形物が占めた。胃内容物のDNAメタバーコーディングでは、多様な分類群の生物が確認された。甲殻類が主要な餌と考えられたが、海洋中を沈降するプランクトンの死骸や糞粒等から形成されるマリンスノーの主要な構成要素である珪藻や渦鞭毛藻、尾虫類、放散虫等のDNAが多く検出されたことから、マリンスノーの摂餌が示唆された。夏の南大洋は氷縁ブルームが発生するなど、高い基礎生産量で知られており、稚仔期にその恩恵を受けマリンスノー等を摂餌し、成長すると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ナンキョクスカシイカは、南大洋の外洋域で最も普通に採集されるイカ類で、アホウドリ類を始めとして大型動物の重要な餌生物として知られる。しかしながら、これまで初期生活史については全く知られてこなかった。本研究は、他の中深層性生物の稚仔と共に高い密度で分布する季節海氷域をホットスポットと捉え、餌生物組成を詳細に調べることにより、そのホットスポットの役割を一定程度解明することができた。南大洋でも大きな環境変動が起こっているが、この変動がホットスポットの環境に影響を与えることも考えられる。そのことは本種の稚仔の生活に影響を与え、引いては食物網を通して大型動物への影響が波及する可能性を示唆している。
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