研究課題/領域番号 |
21K19505
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分54:生体情報内科学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
早川 文彦 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30402580)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 分化誘導療法 / スプライシング誘導 / MEF2D / 白血病 / ヒストン脱アセチル化酵素 / 急性リンパ性白血病 |
研究開始時の研究の概要 |
MEF2D融合蛋白はPAX5とHDAC4双方と結合することでPAX5の転写活性化能を抑制し、B細胞分化障害を起こすことで白血病を発症させると考えられている。野生型MEF2D遺伝子はα1 exonとα2 exonを排他的に使い分けており、MEF2D α1はHDAC4と結合し分化に抑制的に作用するが、MEF2D α2はHDAC4とは結合せず、分化誘導に働くと言われている。MEF2D融合遺伝子では通常α1 exonが選択されているが、そのスプライシングに働きかけα2 exonを選択させることで、MEF2D融合蛋白を分化抑制型から分化誘導型に転換し、白血病細胞に分化または細胞死を誘導することを目指す。
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研究実績の概要 |
筋細胞分化の転写因子MEF2Dのexon 3にはα1とα2の2種類があり相互排他的に使い分けられている(MEF2D α1、MEF2D α2 )。MEF2D α1はHDAC4と結合し分化に抑制的に作用するが、MEF2D α2はASH2Lと結合し分化誘導に働くと考えられている。RNA結合蛋白RBFOX2は、スプライシングにおけるα2 exonの選択を誘導してMEF2D α2を発現させることで、筋芽細胞の分化を促進すると考えられている。MEF2Dはリンパ球分化制御にも働いており、一部の急性リンパ性白血病(ALL)で認められるMEF2D融合タンパクが、PAX5の機能を抑制することでリンパ球分化を抑制し、ALL発症に関与すると考えられている。本研究では、MEF2D融合遺伝子陽性ALLに対して、MEF2D融合遺伝子のスプライシングにおけるα2エクソンの使用(α2スイッチ)を誘導し、分化誘導型アイソフォームにすることで、MEF2D融合蛋白の分化抑制能を解消する治療法開発を行う。昨年度、α1あるいはα2エクソンを使用するMEF2D-BCL9(MB α1とMB α2)の発現ベクターを作製し、PAX5転写活性抑制能を比較したが、意外なことに両者の抑制能には相違がなかった。 今年度はこの理由を明らかにするために、MB α1/MB α2とHDAC4との結合能を調べた。共免疫沈降で細胞内でのM-BとHDAC4との結合を調べた所、MB α2にもM-Bα1より弱いものの、HDAC4との結合が認められ、これがM-Bα2にもPAX5転写活性抑制能が認められた原因と考えられた。MEF2Dをリン酸化する作用があるprotein kinase A (PKA) がM-BとHDAC4の結合を増強することを発見し、PKA阻害剤を併用してみたがM-Bα2のPAX5転写活性抑制能は減弱しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想に反してM-Bα2にもPAX5転写活性抑制能が維持されていたため、その原因の探索と、探索の結果原因の一つと考えられたPKAによるM-Bリン酸化をPKA阻害剤で阻害することの効果の検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの結果は、野生型MEF2Dと異なり、α2スイッチが起きてもM-BとHDAC4の結合は期待するほどには弱まらず、PAX5転写活性抑制も解除されないことを示唆している。しかし、α2スイッチによる予想外の効果が得られる可能性はあるため、M-B陽性ALL細胞株にドキシサイクリン誘導性RBFOX2発現ベクターを安定導入し、RBFOX2発現誘導によりM-Bのα2スイッチが誘導できるか、それによるPAX5転写標的遺伝子の発現に変化があるかを検証する。またHDAC4を含むClassII HDAC選択的阻害剤がM-B陽性ALL細胞株の増殖に抑制的な効果を示すかを検証する。
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