配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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研究実績の概要 |
近年口腔と全身の関係について多くの因果関係が明らかにされており,循環器疾患,自己免疫疾患,内分泌疾患などの全身疾患により産生が亢進される炎症性サイトカインやリンパの循環を介した炎症性細胞の循環が口腔内炎症の遷延に関与すると指摘されている.特にヒト最大の免疫組織である腸管免疫の破綻により発症する炎症性腸疾患(IBD)は腸のみならず全身の免疫機構の低下を招き,歯科領域においても根尖性歯周炎(AP),歯周炎,粘膜の潰瘍など口腔内炎症性疾患のハイリスクになることが知られている.IBD患者がAPを発症すると持続的な顎骨破壊を起こし既存の標準治療で治癒を期待できない治療抵抗性を獲得することが報告されており,アンメットメディカルニーズとなっている.そこで本研究はIBDマウスモデルにAPを誘発したIBD+APモデルを作製し,これを用いて顎骨破壊増悪化を誘導する病因・病態を明らかにし,薬剤輸送システムを基盤とする顎骨破壊を抑制する新規治療戦略を検討した.IBD+APモデルの顎骨破壊範囲を定量解析した結果,APモデルと比較して明らかに顎骨破壊範囲が拡大しており,網羅的遺伝子解析の結果,炎症関連遺伝子の顕著な増加が観察された.また興味深いことにIBD単独のモデルでは好中球の浸潤が顎骨骨髄から起きており,IBD+APモデルでは根管からの細菌感染でリンパ球の活性化が起こることが判明した.フローサイトメトリー解析の結果より,IBD+APモデルでは病変を含む顎骨内でTh17細胞が明らかに増加したことが判明し,Laser DDS技術を用いてTリンパ球の抑制に有効なタクロリムスを根管経由で顎骨病変内に局所投与したところ,IBD+APにより増悪化される顎骨破壊が改善した.
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