研究課題/領域番号 |
21K19695
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
浅井 武 筑波大学, 体育系(名誉教授), 名誉教授 (00167868)
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研究分担者 |
洪 性賛 筑波大学, 体育系, 助教 (10638547)
中山 雅雄 筑波大学, 体育系, 教授 (70217941)
丸山 剛生 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (90181833)
中村 純 大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (30130876)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | コロナ / ウイルス / 感染 / 空気 / 身体運動 / スポーツ / 換気 / 感染リスク / エアロゾル / 空気感染 / 可視化 / 運動 |
研究開始時の研究の概要 |
教育現場やスポーツ現場では,手洗い,消毒,マスク着用等の日常生活におけるリスクヘッジは奨励されているものの,肝心の身体運動下における呼吸気や外気の流れ,その相互作用,感染リスク等が明らかでなく,手探り状態で運動を実施しているのが実態である. 本研究では,筑波大学スポーツ実験棟,PTV(Particle Tracking Velocimetry)可視化システム,高解像度高速カメラシステム,ウォータースプレイ噴霧装置,感水紙,スモークトレーサーを組み合わせて,実世界同様の実座標系での広区域における身体運動と流れ場の動態を,高精度に可視化,計測する,身体運動下感染評価システムの開発に挑戦する.
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研究実績の概要 |
本研究では,移動型フルスケールマネキンとParticle Trace Velocimetry (PTV)システムを用いて,対面通過時における呼気(噴流)由来のエアロゾル粒子の流れ場を可視化,計測し,通過時における空気感染リスクを明らかにしようとした. 換気無し条件(30l-5 km/h)例におけるmicro particle数(ウイルス暴露リスク指標)は,対面通過後の初期,約5秒以内(~1.24 s)にピークが出現し,その後,減少していた. 換気無し条件における,歩行速度時(5 km/h)のピークmicro particle数は,何れの呼気条件においても,他のジョギング速度時(10 km/h),ランニング速度時(15 km/h),スプリント速度時(20 km/h)より大きく,対面通過後5秒以内にピークがみられ,その後,急激に減少する傾向を示している.これは,micro particleが,呼気(噴流)の主流の通過後,拡散により急激に減少することが大きな原因の一つになっていると考えられる.また,通過速度が大きいケースほど,micro particle数は減少する傾向を示している.これは,通過速度が大きいケースほど,噴流と外流の相対速度が増加し,拡散が促進されるため,micro particle数が減少していると推測される.これらのことから,ウイルス暴露リスクが最も高まるのは,何れの速度ケース時においても,対面通過後,5秒以内であり,通過速度が大きくなるほど,相対速度が増加し,micro particleの拡散が促進されるため,ウイルス暴露リスクは減少すると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19の感染評価で対象となるDroplet and aerosol (include micro droplet)は,そのサイズや水分量によって,重力落下速度が異なることが知られており.標準状態,無風環境での重力落下では,口の高さ(~1.5m)から地面に落下する時間は,粒径100μmでは,約5秒程度,10μmでは約6分程度,5μmでは約33分程度になるとされている.本実験で用いたmicro particleのサイズは,6~14μmであり,一般的なaerosol (< 5μm)より大きいものの,無風状態で6分程度は浮遊すると推測され,運動時における呼気の非定常流れ場やmicro dropletやaerosol の動態をある程度,妥当に検討できることが確認された.また,現在までに,換気無し条件における,歩行速度時(5 km/h)のピークmicro particle数は,何れの呼気条件においても,他のジョギング速度時(10 km/h),ランニング速度時(15 km/h),スプリント速度時(20 km/h)より大きく,対面通過後5秒以内にピークがみられ,その後,急激に減少する傾向を示している.これは,micro particleが,呼気(噴流)の主流の通過後,拡散により急激に減少することが大きな原因の一つになっていることが示された.換気有り条件において,同様の実験を実施する予定であるが,Covid-19の感染予防対策等により,計画がやや遅れ気味になっている.Covid-19の感染も収まっていく傾向であり,今後は,換気有り条件の実験,分析や,換気無し条件との比較検討を進めたい.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,換気環境下において,移動型フルスケールマネキンとParticle Trace Velocimetry (PTV)システムを用いて,対面通過時における呼気(噴流)由来のエアロゾル粒子の流れ場を可視化,計測し,通過時における空気感染リスクを明らかにしようとする.また,無換気条件下と換気条件下とのmicro particle数や感染リスクを比較検討し,身体運動下やスポーツ環境における換気の影響についても分析する.
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