研究課題/領域番号 |
21K19729
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
宮井 和政 大阪公立大学, 大学院リハビリテーション学研究科, 教授 (60283933)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 内臓感覚 / 管腔臓器 / アデノシン三リン酸 / 有酸素運動 / 内因性カンナビノイド / 排泄器官 / 運動負荷 |
研究開始時の研究の概要 |
排泄器官の内臓感覚異常(尿意・便意の異常や内臓痛)の改善は、QOLの向上や健康寿命の延伸に極めて重要である。しかしながら、排泄器官の内臓知覚過敏を伴う疾患への効果が期待される運動負荷が内臓感覚に与える作用については基礎的データの蓄積が存在しない。そこで本研究では、内臓感覚の起点となる膀胱・直腸からのATP分泌を指標として、内臓感覚に対する運動負荷の効果を、特に運動負荷により増加する内因性カンナビノイドのシグナル経路に焦点を当てて解析する。本研究により、運動負荷と内臓感覚の関連性、およびその分子機構が明らかとなれば、排泄器官の内臓知覚過敏に対する運動リハビリテーションの開発につながる。
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研究成果の概要 |
管腔臓器の内臓知覚過敏を伴う過活動膀胱や過敏性腸症候群の症状の改善は喫緊の課題である。膀胱や直腸の内臓知覚の起点となるのは各種刺激に応じた粘膜上皮からのATPの放出であるが、有酸素運動がATP分泌に及ぼす作用は明らかではない。本研究では、有酸素運動負荷と運動により賦活される内因性カンナビノイド経路が膀胱及び直腸からの伸展刺激に応じたATP分泌に及ぼす作用を検討した。中程度強度の運動負荷は運動直後の膀胱、および運動直後とその翌日の直腸からのATP分泌を有意に抑制したが、強い運動負荷は効果に乏しかった。一方、内因性カンナビノイド経路の修飾はATP分泌に影響を与えなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、中程度強度の有酸素運動は、運動直後の膀胱、および運動直後とその翌日における直腸の内臓感覚を緩和させることが示唆された。現在、尿失禁に対する運動療法としては骨盤底筋群を鍛えることのみが着目されているが、本研究は一般的な運動療法でも膀胱のみならず直腸の内臓知覚過敏に有効であり、その運動強度は中程度で十分であることを示した点で意義があると考える。運動による内臓感覚抑制に関わる分子機構は今後の検討課題ではあるが、排泄に関わる異常は特に高齢者で問題となるものであり、運動療法が歩行や作業のみならず高齢者の排泄機能リハビリテーションとしても広い効果を有する可能性を示唆している。
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