研究課題
挑戦的研究(萌芽)
骨格筋による運動刺激の感知機構は不明な点が多い。最近、運動による筋の代謝リプログラミングに2型自然リンパ球(ILC2)から産生されるIL-13が必要であることが示された。IL-33はILC2の誘導に必要なサイトカインであるが、申請者らは独自に発見した間葉系前駆細胞がIL-33を特異的に発現すること、そして、その発現が運動によって増加することを見出している。運動-間葉系前駆細胞-IL-33-ILC2-IL-13から成る筋代謝リプログラミングカスケードが示唆される。本研究では、「運動-間葉系前駆細胞-IL-33」経路(運動感知経路)について精査し、筋の適応のトリガーとなる機構の解明を目指す。
運動は身体に様々な有益効果をもたらす。運動による身体適応の代表に骨格筋の機能強化があり、筋力・筋量が増し、エネルギー代謝機構のリプログラミングも起こる。しかし、運動を感知し骨格筋の適応のトリガーとなる機構、言い換えれば、運動が直接的に影響する最も上流の部分は依然として謎に包まれている。研究代表者は、筋の脂肪化の起源となる間葉系前駆細胞を世界に先駆け同定することに成功し(Nat Cell Biol, 2010)、その後、本細胞が筋の線維化や骨化の起源になることも明らかにした(J Cell Sci, 2011; Plos One, 2013)。しかし、本細胞の生理的な存在意義については不明であった。そこで、研究代表者らは間葉系前駆細胞欠損マウスを作製し、欠損マウスの表現型の解析から、本細胞が筋の恒常性維持に必須であることを明らかにした(J Clin Invest, 2021)。間葉系前駆細胞が生理的に重要な役割を果たしているというこの結果を受け、間葉系前駆細胞が運動による適応にも関与しているのではないかという仮説に至り、運動時における間葉系前駆細胞の役割について調べた。その結果、間葉系前駆細胞は運動による筋の肥大適応に必要であることが明らかとなった。間葉系前駆細胞がどのようにして骨格筋の適応を制御するのかを精査するために、骨格筋の適応に重要となる筋幹細胞および免疫細胞であるマクロファージにも着目して研究を展開し、間葉系前駆細胞が中核を成す筋適応における細胞間相互作用の機序を明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 3件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 8件)
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