研究課題/領域番号 |
21K19815
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
イン ベイウェン 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90422401)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 細胞培養 / 機械学習 / 培地 / ビッグデータ / 細胞増殖 / 増殖速度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は経験則で行われている細胞培養に応用情報科学的研究手法を取り入れることにより、細胞の振る舞いに対する高度な制御に繋げ、細胞培養の諸問題を解決する。具体的には、網羅的実験により、培地成分と培養の良し悪しが繋ぐビッグデータを蓄積し、世界初となる「環境情報-細胞動態」のデータベースを構築する。実験データに機械学習を適用し、どの環境因子がどの程度に細胞増殖(培養)に寄与するのかを予測し、それらの相対重要度を明らかにする。実験と学習の繰り返しにより、予測精度を向上させ、目的に応じた細胞培養の合理化や至適化を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究は網羅的実験により、「環境情報-細胞動態」のデータベースの構築および機械学習による培養・培地条件の予測モデルの開発を目指している。実験科学と情報科学に両面において、方法論の確立・開発が必要である。具体的には、1)実験系の確立、2)データの蓄積、3)学習プログラムの開発、4)検証の4項目がある。2021年度は1)実験系の確立を達成したので、2022年度は2)と3)において下記通りの成果が得られている。 2)データの蓄積:培地種類や実験操作の詳細といった環境因子を網羅的に変化させ、細胞の増殖速度、細胞密度、細胞サイズや形状など細胞培養の良し悪しを表す多様な指標を計測し、環境情報‐細胞動態のビッグデータを取得した。計測手法の高精度化とデータ処理の高速化をさらに改良することにより、実験データの蓄積を加速させ、細胞培養のビッグデータを整備した。同一モデル細胞Hela-S3に対し、二種類計測方法(生化学反応、粒子分布)にを用いて、それぞれ数百種類の培地の組合せ条件下での細胞培養(増殖)の結果が得られている。 3)学習プログラムの開発:実験データに機械学習を適用することにより、細胞培養の分析と予測を行った。昨年度までに微生物細胞を対象に開発したプログラムを改変し、培養細胞の特徴に合わせ、アクティブラーニングの手法を確立した。学習モデルの予測精度を高めたことにより、培地最適化が成功した。 以上2点の研究成果として、国際誌学術論文を複数投稿し、学会発表を多数実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画の通りに、問題なく研究が進められた。生物学実験(細胞培養)と情報科学的計算(機械学習)が同一研究者(グループ内)で実施できたことが研究の効率化・高速化を図れる大きなポイントだと考えられる。 学術的成果として、国際誌にて学術論文2報を投稿し、国内学会にて発表4回を実施した。また、応用(産業)的成果として、市販培地より性能の良い培地の最適化に成功しており、当初以上の新たな展開に期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、当初計画していた1)~3)の成果をまとめることと同時に4)を実施する。 4)検証:これまでの実験と学習分析により、個々の環境因子がどの程度、どのように細胞動態(培養の良し悪し)を決めるのかを明らかにする。ほかの細胞株を対象に、最適化培地および学習モデルのの汎用性を評価する。 さらに、当初の計画にない内容として、なぜ細胞培養が最適化培地によって改善されたのかを明らかにすることも考えている。
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