研究課題/領域番号 |
21K19843
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
益谷 央豪 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40241252)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | DNA損傷 / DNA損傷トレランス / 損傷乗り越えDNA複製 / 転写 / DNA損傷応答シグナル / 損傷乗り越えDNA合成 / PCNA / ユビキチン化 |
研究開始時の研究の概要 |
紫外線や化学物質などの様々な要因により生じたDNA損傷は、DNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼの進行を妨げ、DNA複製と転写を阻害する。遺伝子領域で起こる転写と複製の衝突の回避機構が知られているが、DNA損傷の多くはゲノム上にランダムに生じており、DNA複製の阻害の大部分は、転写の阻害とは異なる場所で起こり、独立に解消されていると考えられている。本研究では、DNA複製の阻害と転写の阻害及びそれらの解消機構に連携があることを示唆する予備的知見を踏まえて、DNA損傷によるDNA複製の阻害と転写の阻害を連携して制御・解消するメカニズムを探索・解析する。
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研究成果の概要 |
DNA損傷により、DNA複製と転写はそれぞれ阻害される。遺伝子領域においては、転写の阻害とDNA複製の阻害がともに生じうるが、ゲノム全体の多くの領域では転写の阻害とは無関係にDNA複製が阻害されると考えられている。本計画では、転写の阻害とゲノム全体で起こるDNA複製の阻害の解消機構の連係を探索した。そして、DNA複製の阻害と転写の阻害及びそれらの解消機構の連携機構において、DNA損傷応答において重要な役割を担うATRの関与を見出した。DNA損傷によるDNA複製の停止と転写の停止をつなぐシグナル経路の存在を強く示唆するものであり、挑戦的研究として実施した本研究をさらに発展させる道筋を開いた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
環境中の紫外線や細胞自身の代謝産物である活性酸素などにより、DNAは絶えず損傷を受けており、基礎的なDNA代謝であるDNA複製と転写は阻害される。本研究では、DNA損傷によるDNA複製の阻害と転写の阻害を連携して制御するネットワークの存在を強く示唆することができた。DNA損傷応答機構の破綻は、ゲノムの不安定化につながり、がん化や老化を始めとするさまざまな生理機能の異常をきたす。一方で、がん細胞は、DNA損傷存在下でも増殖するために、これらのメカニズムを利用して、DNA損傷に対する耐性を獲得する。従って、本研究は、発がん防御に加えて、新規抗がん戦略の構築に寄与することが期待できる。
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