研究課題/領域番号 |
21K19854
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
仲岡 雅裕 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (90260520)
|
研究分担者 |
伊佐田 智規 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (80725359)
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00572976)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 陸海相互作用 / 海岸地すべり / 沿岸生態系 / 土砂流入 / 生態系モデル |
研究開始時の研究の概要 |
北海道東部沿岸域を対象に、海岸地すべりによる土砂供給が沿岸生態系に与える影響の評価を行う。具体的には、海岸地すべり多発地帯である北海道東部沿岸域を対象に、(1)広域(10 kmスケール) の海域における沿岸生態系の定期調査、(2)地すべり発生後の生態系の変化の集中的な観測、(3)地すべり調査定点における連続的な観測、(4)上記の結果を取り入れた流動・生態系動態統合モデリングを組み合わせた研究を行う。これにより、地すべりが沿岸生態系に与える影響について、従来研究されてきた河川を通じた物質流入の影響に対する相対的重要性を評価する。
|
研究実績の概要 |
北海道東部沿岸域を対象に、海岸地すべりによる土砂供給が沿岸生態系に与える影響の評価を行う。この目的を達成するため、(1)広域スケールでの沿岸生態系の定期調査、(2)地すべり発生後の生態系の変化の集中的な観測、(3)地すべり調査定点における連続的な観測、(4)上記の結果を取り入れた統合解析を組み合わせた研究を行う。本研究で展開する生態学分野と地質学分野の異分野協働研究は、防災と生態系・生物多様性保全という社会的なニーズの高い課題を統合的に扱うことを通じて、新たな学問分野の創設につながることが期待される。
厚岸湾に設置した定点における地すべりの連続観測により、2021年11月より滑動を始めた地すべりは、降雨などのイベントごとに応じて、侵食量と土砂の流出量が大きく変化することが判明した。一方、2023年度は集中豪雨や台風・低気圧などによる大規模な海岸地すべりは観察されなかったが、冬季の土壌間隙水の凍結・融解、および沖合から波浪による撹乱により小規模な地すべりを繰り返すことが明らかになった。また、地すべり地形を呈していない場所では、主に冬季に海岸の侵食が卓越することがわかった。これにより、多重要因の同時進行に伴う土砂流出の時空間動態の複雑性が解明された。
土砂流出を受けた海洋生態系の変動については、厚岸湾に選定した研究サイトにてドローンによる連続撮影を継続した結果、地すべりの量や頻度に応じた藻場の透明度の変化が観察されたものの、藻場の分布変化との関連性については、サイト全体をまとめた解析では明確な関係性は検出されなかった。そこで、ドローン画像と藻場を構成する海草、海藻類の水中カメラ撮影の情報より、種分布推定モデルを用いて種ごとの分布範囲を推定し、その結果と地すべりとの関連性を解析したところ、場所、水深および構成種ごとに、地すべりに対する異なる応答が生じていることが明らかになった。
|