研究課題/領域番号 |
21K19887
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 重徳 東京大学, 生産技術研究所, 特任講師 (70511244)
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研究分担者 |
聶 銘昊 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (40816485)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 血管床 / 灌流 / 3次元血管網 / オルガノイド / マイクロ流体デバイス / MEMS / 人工血管ベッド / 3次元組織構築 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、BioMEMSやオルガノイド技術などを用いた種々の組織構築技術が発達し、生体外で「組織/臓器を創り出す」試みが世界中で進められている。しかしながら、構築した三次元組織と血管網を有機的に連結する技術は確立されておらず、培養可能な組織の大きさやin vitroにおける生体機能の発現には大きな制約がある。本研究では、血管内皮細胞による脈管形成能を利用して灌流可能な人工ヒト血管ネットワーク(血管床)をマイクロ流体デバイス内に構築し、その上で三次元組織を培養することで、組織形成と灌流系との連結および培養組織の三次元的血管化を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、3次元組織に人工血管網を導入することでin vitroにおける長期組織培養を可能とする人工ヒト血管床デバイスを開発することを目的とする。2021年度は下記項目①、②に取り組み、灌流培養可能な人工ヒト血管床をマイクロ流体デバイス上に構築する。2022年度は、構築した人工血管床デバイスの機能評価並びに3次元組織と血管床との連結を試みる。 ①人工ヒト血管床構築方法の検討 プロトタイプの人工ヒト血管床デバイスを用いて、マイクロ流路と血管網との吻合率の向上を目指した条件検討を行った。共培養する線維芽細胞の播種密度の最適化や血管床に接する培地流路中に血管新生を促進するgrowth factorカクテルを添加することで、吻合部の形成効率に改善が認められた。また、HUVEC以外の数種の血管内皮細胞についてもデバイス上で管腔構造を持つ自発的な血管網の形成が認められ、血管床構築に利用可能な内皮細胞を新たに見出した。ヒトiPS細胞由来血管内皮細胞についても検討を行ったが、管腔形成能が低くiPS細胞株の選別または分化誘導条件のさらなる検討などが必要であることが判明した。 ②人工ヒト血管床灌流手法の検討 項目①で作製した血管床の灌流培養手法を確立するため、プロトタイプデバイス(マイクロポストタイプ)およびトランズウェルタイプの血管床デバイスを用いて、灌流手法の検討を行った。蛍光マイクロビーズを培地に添加することで血管網内の流れを可視化した。いずれのデバイスにおいても血管網全体を灌流するには至っておらず、より効果的な送液を可能とする灌流デバイスを設計する必要が生じた。現在、3Dプリンタを用いて作製したデバイスを用いて血管網の灌流方法について引き続き検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、マイクロ流路と血管網との吻合部形成効率を向上させる条件を見出すことに成功した。また、HUVEC以外にも特定の組織由来の血管内皮細胞を用いた場合において血管床を構築可能であることを確認し、臍帯静脈血管以外にも特性の異なる血管を3次元組織に導入できる可能性を見出した。今年度構築した直径6 mm, 厚さ2 mm程度の血管床全体の灌流培養には未だ成功できていないが、管腔内により効果的に送液可能なデバイスをデザインして引き続き検討を進めており、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、血管床全体を灌流培養可能な血管床デバイスの開発を進める。送液ポンプだけでなく、今年度購入した伸展培養装置を効果的に組み合わせることで、血管床全体の灌流性を向上させる方法について検討する。静置培養と灌流/伸展培養により血管ネットワークの特性にどのような違いが生じるのか検証するとともに、血管床上に設置した3次元組織への血管導入を試みる。
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