研究課題/領域番号 |
21K19893
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
吉野 大輔 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80624816)
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研究分担者 |
早瀬 元 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (70750454)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | オルガノイド / プラズマ / プラズマ荷電タンパク質 / ブロックビルド / ブロックビルド法 / プラズマ荷電タンパク質溶液 / 実スケール化 |
研究開始時の研究の概要 |
オルガノイドは“ミニ臓器”と呼ばれるように現状で数mmの大きさが限界であり、臓器不全の患者へのオルガノイド移植の実現には大きな壁がある。本研究では、臓器移植に耐え得る実物大の臓器オルガノイドを高効率かつ高速で作製する技術の確立を目指す。組織結合性を高めるプラズマ荷電タンパク質溶液の生成機構をマイクロスポット化し、オルガノイドの接着剤として用いる。また、独自開発の高速オルガノイド作製技術を用いて、数mmサイズのオルガノイド基本要素(オルガノイドブロック)を作製する。オルガノイドブロック同士を接着し、組み上げる方法(ブロックビルド法)を確立して、臓器オルガノイドの実スケール化を実現する。
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研究実績の概要 |
研究2年度目である2022年度は、前年度に引き続き研究計画における(1)プラズマ荷電タンパク質溶液を生成する機構のマイクロスポット化と(3)オルガノイドの高速ブロックビルド技術の確立に取り組んだ。 (1)については、絶縁管、タングステンニードル2本を用いた微小プラズマ生成装置を開発し、5 kV, 10 kHzの印加電圧によってプラズマ放電を誘導することに成功した。タンパク質溶液を吐出させ、その吐出部でプラズマ放電を発生させることで、プラズマ荷電タンパク質溶液を作出する。 (3)については、前年度に作製手法を確立した基本形状の球型、ドーナツ型、円柱型、シート型、直方体型オルガノイドブロックを接着・積み上げる方法を検討した。オルガノイドブロックの接着したい部分にコラーゲン溶液を塗布し、もう一方のオルガノイドを貼り付ける要領で接着が可能であること、この方法を複数回行うことで複数個のオルガノイド自在に積み上げることが可能であることを確認した。また、これまで基質として用いていたコラーゲンではなく、マトリゲルを用いることで3次元微小血管網を構築する可能となった。これらの結果より複数種類の基質を組み合わせ、オルガノイド内部に3次元血管網をあらかじめ構築することで、内部への栄養供給が実現でき、長期の培養が可能となることが示唆された。一方、オルガノイドの自己組織化、培養条件の最適化においては検討の余地が残されており、今後は臓器機能の発現に適した条件を検証することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プラズマのマイクロスポット化技術の確立において基盤となる技術検討により、概ね仕様を決定できたことと、タンパク質溶液を用いたオルガノイドの接着・積み上げを実現できたことから、計画は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、まず概ね仕様を決定したプラズマのマイクロスポット化技術を確立する。また、マイクロマニピュレーションシステムを併用することで、オルガノイドブロックの局所接着と精密な積み上げを実現可能にする。腎臓の内部構造を模擬したオルガノイド・ブロックビルドにより、数cm大の腎臓オルガノイドを作製する。加えて、中長期の培養によって臓器の高次機能が発現できているかをタンパク質レベルで確認する。
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