研究課題/領域番号 |
21K19900
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石田 高司 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (80405183)
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研究分担者 |
平松 寛明 名古屋大学, 医学系研究科, 研究員 (70827253)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | CAR-T / TGF-β受容体 / 遺伝子改変T細胞療法 / 人工キメラ受容体 / TGF-beta |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍局所からは、TGFβ等のサイトカインが放出され、T細胞の細胞傷害活性を抑制する。そこで、TGFβ受容体と、遊走能に関わるタンパク質の活性化ドメインとのキメラ受容体を作製し、TGFβに対する強い遊走能を有する遺伝子改変T細胞を樹立する。遺伝子改変T細胞治療において、遊走能の改変は、これまでに報告が無く、極めて斬新な発想である。さらに、細胞外の免疫抑制性因子の捕捉は、免疫抑制機能の阻害にもつながるため、免疫抑制的な腫瘍微小環境に対する抵抗性も付与することができる。これらの技術により、本研究では、固形がんに対して、有効な遺伝子改変T細胞療法開発に寄与する、基盤データを取得する。
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研究実績の概要 |
本研究では、in vitroにおいて、TGF-β受容体の細胞外ドメイン、もしくは抗TGF-β一本鎖抗体と、遊走能を活性化させる作用を持つタンパク質の細胞内ドメインを融合した人工キメラタンパク質を遺伝子導入して発現させることにより、T細胞にTGF-β依存的な遊走能を細胞に付与できることを明らかにした。今後、in vivoでの検討が必要ではあるものの、本研究成果により、任意の分子に対する遊走活性を細胞に付与できる可能性が示された。 in vivoでのT細胞の遊走能を評価するin vivo dual-luciferase アッセイの改変を試みた。CyOFP1とNanoLucの融合タンパク質であるAntaresは開発した人工受容体を同時に遺伝子導入するにはサイズが大きいことが問題であった。そこで、CD8の細胞膜貫通ドメインの前後 (内外) にAntaresを融合した細胞膜結合型の誘導体を作製したが、発現量および発光値が低下した上に、細胞外のtagの発現量もビーズでの細胞濃縮を行うには不十分であったため、Antaresは改変に適さないレポータータンパク質であると考えられた。 固形癌に対するCAR-T療法の開発にとって重要である有効な標的分子探索を目的として、腫瘍内でがん細胞に結合している抗体の標的探索を行ったところ、RNA結合タンパク質が複数同定された。この結果から、がん細胞表面にRNAが存在しているか?腫瘍内で死細胞から放出されたRNA結合タンパク質が腫瘍細胞表面に結合しているか?といった新たな疑問が導かれたため、今後、腫瘍局所という特殊な環境における特異的な分子の相互作用解析につながることが期待される。
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