研究課題/領域番号 |
21K19940
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
馬原 淳 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80416221)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 高分子MRプローブ / 微細脳動脈瘤 / アブレーション技術 / 血中循環 |
研究開始時の研究の概要 |
未破裂脳動脈瘤は全人口の3~5%に存在することが知られており、微細な脳動脈瘤を早期に検出し治療することは予後を改善する上で極めて重要である。本研究では、熱を発生するマグネタイト粒子を搭載した血中循環性高分子MRプローブを用いて、MRI装置における画像診断と磁場照射で空間特異的に微細脳動脈瘤を焼灼が可能な微細血管MRプローブ治療法を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、交流磁場の印加によって熱を発生するマグネタイト粒子を搭載した血中循環性高分子MRプローブを用いて、MRI装置からの磁場照射で空間特異的に微細脳動脈瘤を焼灼する微細血管MRプローブ治療の開発する事にある。この研究での重要なポイントは、血中循環性高分子MRプローブが一時的に血流内を循環することにある。これまでの血中循環型プローブとして、8-arm PEGにフルオレセインを結合させた分子を候補分子として検討してきた。令和4年度では、他の分子においても同様の挙動を示すのか、酸化鉄微粒子との複合体においても自己集合体を形成するのか、の2つについて検討した。その結果、直鎖状や4-arm 型のPEGにおいても、特定の高濃度域において分子が凝集することを突き止めて、またその安定性や凝集メカニズムについてもAFMやCDスペクトルから検討した。この内容については論文投稿中である。一方で、酸化鉄微粒子に対するPEG誘導体の修飾によって、酸化鉄微粒子のみでは示さない自己集合体形成を示すデータを取得できた。さらに血中循環性や組織滞留性についても予備検討した結果、循環時間の向上と、酸化鉄微粒子特有の特定組織への集積を回避できた。これらの成果をもとに、引き続きこの酸化鉄微粒子誘導体を用いて交流磁場内における熱発生挙動についても検討しており、令和5年度以降でその定量的な解析とがん細胞への増殖抑制効果について検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度では、マグネタイト粒子にPEG誘導体を結合させた分子を合成でき、さらにこの分子が自己集合体を形成できることを確認できた。また予備実験としてラットへの投与実験から血中循環性を維持のみならず、特定臓器への集積の回避を実現化できた。このことから、研究計画のマイルストーンを順調に達成できている。今後、交流磁場での熱発生の定量化評価と、がん細胞の増殖抑制効果について評価を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度までに、発生するマグネタイト粒子にPEGを結合させた分子を合成でき、この分子が自己集合体を形成することで一時的な血中循環性を達成することを突き止めた。さらに、マグネタイト粒子特有の体内での特性臓器集積という大きな課題についても、PEGの結合により回避できることが示された。一方で、交流磁場による熱発生に関する評価系の構築についても進めており、今後合成した分子を用いて、in vitroでの細胞増殖抑制効果や、in vivoでのガン組織の増殖抑制効果のデータ取得につなげて、研究目標の実現化を進めていく予定である。
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