研究課題/領域番号 |
21K20263
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
植原 俊晴 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (30887279)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 批判的思考態度 / 反対事例 / 知識理解の水準 / 理科 / 中学校 / 電流と磁界 / 中学生 / 演繹的推論 / 科学的知識の獲得 / 小中学校理科 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,小・中学校の理科で演繹的推論を伴う「反対事例による教授学習モデル」を導入した授業を行い,批判的思考態度と科学的知識の獲得を観点として,当該授業の効果を明らかにすることである。 ポパーは,演繹的に思考したり,理論に反駁したりすることを科学的態度としていることから,小・中学校の理科の授業において,科学的態度を育成するためには,学習する知識に対して演繹的に反論する機会を取り入れることが重要であると考え,本モデルを提案した。 本研究では,上記のモデルによる理科の授業を行い,本実践の理論記述等を行うことで,その効果を検証し,科学的態度の育成を目指す,理科の新しい教授学習モデルの確立を試みる。
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研究実績の概要 |
中学校理科で「反対事例」を用いた授業を研究協力者が行い,授業前後における生徒の批判的思考態度の変化を調べるため,平山・楠見(2004)が作成した4つの因子構造を持つ批判的思考態度尺度を用いたアンケート調査を行った。その結果,「論理的思考への自覚」と「証拠の重視」の2つの因子については,事後の平均点が有意に高くなった。これらの要因として,「反対事例」に関する実験の結果をグループごとに予想する過程で,授業者が根拠を明らかにして予想することを強く求めていたことが関係していると考えらえた。一方で,「客観性」の因子については有意に低くなり,「探究心」の因子については変化が認められなかった。これらについては,「反対事例」の認知負荷が小さく,言い換えると,「反対事例」として提示した課題が比較的易しく,すべてのグループで既習事項に基づいた正しい予想のみがなされたことや,「反対事例」を確認する過程が演示実験に留まったことが影響していることが示唆された。この成果については,日本科学教育学会第46回年会で報告した上で,信州大学教育学部附属次世代型学びセンター紀要 教育実践研究誌にて公表した。 また,「反対事例」を導入した授業が知識理解の水準(知識の直接的適用,操作的適用,制御的適用の各水準)に与える効果を調べるため,研究協力者が上記と同様の授業を行った。その結果,既習事項の理解を深めたり,知識の直接的適用を促したりすることについては一定の効果があると示唆された。一方で,知識の操作的適用や制御的適用を促す効果は十分とは言えない結果だった。この結果については,日本教授学習心理学会第19回での発表を経た後,データを追加し,学会誌などで公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試行的に行った授業において,得られた成果について学会で報告し,公表することができた。 しかしながら,新型コロナウイルス感染症の学校教育活動などへの影響により,小・中学校における実践から十分なデータを得るには至っていない。不足しているデータについては,2023年度の早い時期に調査を実施することが決まっている。
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今後の研究の推進方策 |
早期に小学校における授業で調査を行うとともに,中学校における調査を通して不足しているデータを得られるようにする。そして,それぞれの結果をまとめ学会等で報告した上で,学会誌などでの公表を目指す。また,すべての研究成果に基づいて,「反対事例による教授学習モデル」による授業の理論記述を行い,本モデルの確立を目指す。
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