研究課題/領域番号 |
21K20356
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0202:物性物理学、プラズマ学、原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
船戸 匠 慶應義塾大学, グローバルリサーチインスティテュート(矢上), 特任助教 (10908700)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | スピン流 / 格子歪み / 表面弾性波 / ナノチューブ / スピン起電力 / スピン・回転結合 / スピントロニクス / スピンダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、物体の静的な歪みとスピンの結合を利用したスピン流生成機構について微視的な解析を行う。スピントロニクスにおける中心概念の一つであるスピン流の生成には、強磁性体やスピン軌道相互作用(SOI)の強い重金属など限られた物質が用いられてきた。一方、SOIの弱い常磁性金属はスピン流の長距離伝搬が可能であるなどデバイス応用上の優位性を持つ。本研究は物質に依存しない普遍的な相互作用を利用したスピン流生成手法の開拓を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究はまず、動的な格子歪みによるスピン関連現象を解析した。特に、表面弾性波が印加された強磁性金属単膜中において、磁化運動が起電力へ変換される新たな機構を見出した。強磁性金属単膜という貴金属を必要としないシンプルなデバイス構造において実現するため、次世代の表面弾性波デバイスとしての応用が期待される
次にその知見を基に、ナノチューブ系のスピン軌道相互作用に着目し、その曲率依存性について解析を行った。その結果、カーボンナノチューブにおける曲率依存するスピン軌道相互作用の再現と、シリコンナノチューブにおけるバレー依存したスピン分裂を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
電子の磁気的性質の流れであるスピン流は、電子デバイスの省エネルギー化や高機能化に革新をもたらすと期待されている。しかし、従来のスピン流生成は、電子スピンと電子の軌道運動が強く結合する貴金属が必須であった。本研究成果は、ナノチューブなど物質の格子(構造)の変形が電子スピンと軌道運動の結合を生み出すことを提供するものである。これはカーボンやシリコンなどの貴金属を必要としない新たなスピンデバイスへの可能性に繋がる。
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