研究課題/領域番号 |
21K20549
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0501:物理化学、機能物性化学、有機化学、高分子、有機材料、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 兵庫県立工業技術センター |
研究代表者 |
酢谷 陽平 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 研究員 (40908456)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | PVDF / 低電圧制御 / 強誘電相 / 常誘電相 / 結晶相転移 / 分極配列制御 / P(VDF/TrFE) / 圧電性 / 有機強誘電体 / 成膜時電界印加 / 結晶構造転移 / 圧焦電性 |
研究開始時の研究の概要 |
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は有機材料の中で理論的に大きな分極量を有し、低環境負荷であることから焦電センサや圧電センサへの応用研究が進められている。センサへの応用には分極を有する結晶構造への転移とPVDF薄膜全体の分極配列の制御が必要になるが、その完全な制御には至っていない。本研究では、理論値に迫る高い分極量を示すPVDF薄膜の作製手法の確立を目指す。PVDFの成膜中に電界印加を行うことで結晶構造制御や分極配列制御を試み、PVDF薄膜の分極量やセンサ素子の電気特性を評価する。これにより、PVDFを用いた焦電センサや圧電センサの実現可能性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究ではポリフッ化ビニリデン(PVDF)の常誘電結晶構造から強誘電結晶構造への結晶転移と分極配列の低電圧制御を目指して、研究に取り組んでいる。本年度はPVDFの共重合体で、強誘電相が再安定であるポリフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体(P(VDF/TrFE))の薄膜について融液状態での電圧印加を行い、それに伴う分極配列方向の変化の印加電圧依存性について評価を行った。常温のP(VDF/TrFE)薄膜に対して直流の電圧印加を行った場合、抗電界(分極量における50%の分極が変化する電界)の90%以上の電界印加でP(VDF/TrFE)の分極方向が水平方向から60度垂直方向に回転し、抗電界以上の電界印加でP(VDF/TrFE)の一部の分極方向がさらに30度垂直方向に変化することが確認できた。一方、融液状態において電圧印加を行ったP(VDF/TrFE)薄膜では、室温の抗電界の20%以上といった低電界印加でもP(VDF/TrFE)の分極方向が水平方向から60度回転し、室温の抗電界の40%以上の電界印加でP(VDF/TrFE)の一部の分極方向が垂直方向に変化することが確認できた。これにより融液状態におけるP(VDF/TrFE)薄膜への電界印加によって低電圧印加でもP(VDF/TrFE)の分極制御が可能であることが実証できた。また、融液状態での電圧印加を行ったP(VDF/TrFE)薄膜においては、室温の抗電界以上の電界印加を行った場合、P(VDF/TrFE)の分極方向が水平方向に戻る挙動が確認でき、融液状態での印加電界の大きさがP(VDF/TrFE)の分極配列制御に影響を与えることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度の研究として、P(VDF/TrFE)で得られた成果をPVDFにフィードバックし研究を進めるところまで予定していた。しかしながら、P(VDF/TrFE)の分極配列変化において今まで知られていなかった知見が得られ、その研究に時間がかかってしまったため、研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度については、本年度P(VDF/TrFE)で得られた成果をPVDFにフィードバックし、PVDFの結晶構造転移と分極配列の低電圧制御について研究を進める。
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