研究課題/領域番号 |
21K20650
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松本 光梨 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (10914153)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 胚発生 / カルシウム / ライブイメージング / 細胞内動態 / シロイヌナズナ |
研究開始時の研究の概要 |
植物では、受精卵が上下に非対称分裂することで、将来の植物体の上下軸が作られる。分裂に先立ち、受精卵は徐々に極性化する。非対称分裂に至るには、細胞内の極性化(空間的制御)と、分裂のタイミング(時間的制御)を連携させる必要があるが、その動態や分子機構はいまだ謎に包まれている。代表者は、受精卵の高精細ライブイメージングにより、受精後に細胞上部からカルシウム振動(Ca波)が生じ、極性化が完了する時期に減衰することを見出した。本研究では、受精卵の極性化、Ca波、細胞周期をライブイメージングして時空間連携の動態を突き止めるとともに、トランスクリプトーム解析を行い、時空間連携を担う分子基盤をも解明する。
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研究成果の概要 |
植物の発生は単細胞である受精卵から始まる。ほとんどの植物では、受精卵は極性化した後、上下に非対称分裂する。非対称分裂に至るには、極性化と分裂のタイミングを連携させる必要があるが、その詳細な機構は不明である。本研究において代表者は、多数のマーカー株を用いたシロイヌナズナ受精卵のライブイメージングにより、極性化の推移、Ca波の減衰、細胞周期の進行を解析し、その順序と関係性を明らかにした。その結果、受精卵では伸長速度が一定ではなく、分裂直前に急速に早くなること、またその前後で起こる各事象の変化を見出した。今後、この急速な伸長期の制御機構を探ることで、時空間連携の仕組みの解明が期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで植物の受精卵では、細胞伸長や核の移動という極性化が非対称分裂に必須だと判明している一方で、分裂タイミングを決める時間的制御の理解は進んでいなかった。本研究では、細胞周期の解析から、発生最初期の時間的制御の一端を解明することに世界で初めて成功した。細胞の極性化や非対称分裂は、植物の発生全般で見られる重要な現象であるため、本研究の知見は植物の発生の原理への理解につながる。また、受精卵は個体発生の原点であり、正常に極性化や非対称分裂することは、正常な種子・個体形成にも必要である。ゆえに本研究は、農業や育種といった応用研究への基盤として重要である。
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