研究課題
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本研究課題では、シングルセル解析を用いてSBMAマウスモデルの脊髄における1細胞ごとの遺伝子発現情報とオープンクロマチン領域の分布を発症前から経時的に取得し、SBMAの早期病態解明と治療開発を目指す。運動ニューロンの遺伝子変化を効率的に検出するために、運動ニューロン特異的なレポーターを有するSBMAマウスモデルを用いる。シングルセル解析の結果に基づき、主に発症前に変化が大きい遺伝子と細胞種に注目し、神経系細胞の初代培養およびiPS細胞を用いた検証を行う。さらにSBMAマウスモデルを用いて、病期に応じて標的遺伝子が病態に与える影響を明らかにする。
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)はアンドロゲン受容体(AR)のCAGリピート伸長による進行性の遺伝性神経筋疾患である。本研究課題では、 シングルセル解析を用いてSBMAマウスモデル(AR-97Q)の脊髄における細胞種ごとの遺伝子発現情報を発症前から経時的(3、6、9、13週齢)に取得し、SBMAの早期病態解明を目指した。野生型マウスとAR-97Qマウスを比較すると、発症前の3週齢から特にオリゴデンドロサイトでの変化が大きく、シナプスやイオンチャネル活性に関連する遺伝子の上昇をみとめた。細胞の興奮毒性がSBMAの病態に関与しておりそれが治療標的となることが示唆された。
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)はそのアンドロゲン依存性病態に基づき、治療薬として抗アンドロゲン療法であるリュープロレリン酢酸塩が2017年に薬事承認されたが臨床における効果は限定的である。また性機能抑制などの副作用から、発症前のSBMAキャリア男性への使用は困難であり、新たな治療薬開発が望まれている。本研究によりSBMAの発症前にニューロンよりもオリゴデンドロサイトにおいて遺伝子発現変化が大きいことが判明し、従来は知られていなかった病態が明らかとなった。オリゴデンドロサイトの異常が運動ニューロンの変性の起始に強く関わっていると考えられ、疾患に対する新たな治療アプローチを提案することができた。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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