研究課題/領域番号 |
21K20707
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金子 尚志 (星 尚志) 東北大学, 薬学研究科, 助手 (20907993)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | パーキンソン病 / セレノプロテインP / セレン / 神経変性疾患 / αシヌクレイン / 凝集形成 / 酸化ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
セレノプロテインP(SeP)は血漿中に存在するセレン含有タンパク質であり、全身へのセレン輸送において重要な役割を担っている。種々の神経変性疾患で、血漿または脳脊髄液中でのセレン濃度の変動が報告されているが、その原因や病態生理学的意義は明らかになっていない。近年、パーキンソン病(PD)患者脳の免疫組織学的な解析から、レビー小体中にSePが局在していることが報告され、パーキンソン病との関連が示唆される。そこで本研究では、SePが担うセレンホメオスタシスとPD病態進行との関係を統合的に理解し、新たなPD治療標的を同定することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、パーキンソン病態におけるセレノプロテインPの役割について検討を行った。細胞を用いない試験管内の実験において、毒性の高いαSynuclein fibril形成をセレノプロテインPが抑制することを見出した。一方で、培養細胞では、テトラサイクリン応答αSyn発現細胞を樹立し、本細胞にαSyn fibrilをプロテイントランスフェクションすることで、αSyn凝集形成評価系を構築した。本実験系においてSePまたは亜セレン酸によってセレンを供給すると、細胞内でのαSynfibrilの形成加速が抑制されたことから、セレン供給は何らかのαSyn凝集形成抑制作用を持つことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
振戦や認知機能の低下などを主症状とするパーキンソン病(PD)患者脳では、αSyncleinを中心とするタンパク質凝集体であるレビー小体が形成される。本研究では、セレン運搬タンパク質であるセレノプロテインP (SeP) によるPD病態形成への寄与を明らかにすることを目的とした。試験管内および培養細胞をもちいた実験系において、セレノプロテインPは、セレン供給作用およびαSynucleinとの直接的な相互作用を介してαSynucleinの凝集形成を抑制する可能性を見出した。本成果で得られた、パーキンソン病態におけるセレン恒常性を理解することで、魅力的な治療ターゲットへとつながることが期待される。
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