研究課題/領域番号 |
21K20806
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岐部 晋 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00910605)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膵癌 / 腫瘍微小環境 / 腫瘍浸潤 / 腺房-導管異形成(ADM) / 腫瘍関連マクロファージ(TAM) / 血管新生 / ADM様変化 / 癌関連線維芽細胞(CAF) / シングルセルRNAseq解析 / 腫瘍関連マクロファージ(TAM) / 腺房-導管異形成様変化 / 癌関連線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌が予後不良である一因に容易に周囲組織へ浸潤し、特徴的な腫瘍微小環境を形成する点がある。我々は浸潤の機序として、膵癌の腫瘍先進部では膵腺房細胞が通常の膵炎とは異なる独自の腺房-導管異形成様変化を起こすことで、浸潤に適した腫瘍微小環境を誘導していることを報告してきた。この機序に腫瘍微小環境に特異的な複数の炎症性サイトカインが関与している可能性が示唆されているが、詳細については明らかになっていない。腫瘍先進部で腺房細胞の異形成により生じた細胞と腫瘍微小環境を形成する各細胞集団のサイトカインを介した相互作用を制御し、腫瘍浸潤を抑制するという、微小環境標的膵癌治療の開発を目的とした研究である。
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研究成果の概要 |
膵癌の浸潤の機序として、我々は過去に膵癌の先進部では細胞の腺房-導管異形成(ADM)様変化を認め、それが腫瘍浸潤に関わることを報告した。本研究ではその機序を検討し、ADM様変化のある腫瘍先進部では血管新生密度が高く、これが予後低下と相関することを明らかにした。さらに膵癌組織全体のうちADM様変化のある腫瘍先進部においてのみ、腫瘍関連マクロファージの増加を認め、この部位でMMP9が発現し、それが血管新生密度の高い部位と一致することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵臓は周囲を主要な血管や他臓器に囲まれた臓器である。そのため、膵癌の唯一の根治治療は外科的切除であるが、半数以上の症例は診断時にすでに遠隔転移や局所進行のために切除の対象とはならず、膵癌は予後不良な疾患である。本研究では、膵癌の浸潤に際して腺房細胞のADM様変化が生じる部位の周囲微小環境において、腫瘍関連マクロファージがMMP9という分子を発現することが、血管新生増生に関与し、ひいては浸潤に関与する可能性を示唆した。このことは、膵癌の浸潤機序の解明の一助となる非常に意義のある結果である。
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