研究課題/領域番号 |
21K20818
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 |
研究代表者 |
山本 健人 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 腫瘍研究部, 研究員 (10909310)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 大腸癌 / 癌幹細胞 / スフェロイド / 線維芽細胞増殖因子受容体阻害薬 / FGFR阻害薬 / FGFR / 線維芽細胞増殖因子 / 線維芽細胞増殖因子受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
新規がん治療薬として「線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬」が注目されている。2019-20年には、FGFR3遺伝子変異を持つ尿路上皮癌とFGFR2遺伝子転座を持つ胆道癌に対し、米国FDAでFGFR阻害薬が初めて承認された。しかし、本邦で罹患数第1位の悪性腫瘍である大腸癌に対しては、承認の見通しが立っていない。その最大の要因は、FGFR阻害薬が効果を示す患者群を選択するバイオマーカーが未発見であることである。 本研究では、(1)FGFR阻害薬の効果予測マーカーの同定と、(2)切除標本またはctDNAを用いたFGFR阻害薬感受性診断技術の確立、FGFR阻害薬の大腸癌への臨床応用を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬の大腸癌への臨床応用を目的とし、FGFR阻害薬が効果を示す大腸癌患者の抽出を可能とするバイオマーカーの探索を行った。当施設で原発巣切除を行った大腸癌患者を対象に、切除した腫瘍から幹細胞スフェロイドを樹立し、FGFR阻害薬の効果を確認したところ、RAS/RAF野生型大腸癌の約28%に感受性を認めた。 この結果はFGFR遺伝子の変異やコピー数、発現レベルと相関しなかったが、FGFR遺伝子とEGFR遺伝子の発現レベル比「F/E」がFGFR阻害薬の感受性レベルと有意に相関し、FGFR阻害薬の効果を予測するバイオマーカーとなりうることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬は、新規分子標的治療薬として近年注目を集め、2019年以降、尿路上皮癌や胆道癌等に対して使用可能となってきた。しかし、大腸癌に対してFGFR阻害薬はまだ承認されておらず、その理由としてFGFR阻害薬が効果を示す大腸癌患者の抽出を可能とするバイオマーカーが未発見であることが挙げられる。 本研究では、FGFR遺伝子とEGFR遺伝子の発現レベル比「F/E」がFGFR阻害薬の感受性と相関する事実を見出し、「F/E」が新規バイオマーカーとなりうる可能性を示した。これは、FGFR阻害薬の大腸癌への臨床応用が可能となる重要な結果であると考える。
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