研究課題/領域番号 |
21K20847
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 山口大学 (2022) 順天堂大学 (2021) |
研究代表者 |
富永 香菜 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50779569)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 乳がん / 浸潤・転移 / DNAマイクロアレイ / 肺繊維芽細胞 / 間質 / がん関連繊維芽細胞 / 前転移ニッチ / 腫瘍 / 線維芽細胞 / CAF / がん転移 / がん微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
がん転移は患者予後への影響が大きく、転移機序解明とそれに基づく治療法の開発が課題である。近年、がん細胞が遠隔臓器へ転移する前に、すでにがん細胞が増殖できる環境が整えられているという「前転移ニッチ仮説」が注目されている。先行研究にて腫瘍悪性化や転移に関わるがん関連線維芽細胞 (CAFs)により教育された乳がん細胞を免疫不全マウスに移植したところ、肺転移巣にてマウスホスト由来の肺線維芽細胞が活性化し、CAFsの特徴を持つことを見出した。本研究では、前転移ニッチ形成に関わる細胞として肺線維芽細胞に着目し、乳がんの原発巣と転移巣間のコミュニケーションによる前転移ニッチ形成メカニズムの解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、転移巣形成に関与する細胞として肺線維芽細胞に着目し、がん細胞との相互作用に基づいた転移巣形成機序の解明を目指した。乳がんの肺転移をモデルとして、高転移ヒト乳がん細胞を移植した免疫不全マウスで微小転移巣が形成される時期を特定した。また、微小転移が形成される前後で、肺繊維芽細胞が高い増殖能を獲得していることを明らかにした。さらに、微小転移形成前後と非移植群の肺組織から単離した肺線維芽細胞のDNAマイクロアレイ解析により、微小転移巣形成に関わる肺線維芽細胞において活性化しているパスウエイや鍵因子を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
転移先で増殖したがん細胞は、正常な組織を破壊し、がん患者の予後やQOLに大きな影響を与える。その結果、根治を実現できずに命を失う患者も少なくない。本研究において腫瘍の発生から転移巣形成までの遺伝子発現の変遷を検証したことにより、転移巣形成メカニズムのの解明につながるだけでなく、がん転移において肺の前転移ニッチ形成に寄与する線維芽細胞を標的とした抗転移性の創薬への応用が見込める。将来的には本研究成果に基づき、他のがんの転移機構の解明にも応用し、様々ながん種の抗転移性の治療薬の開発へ応用することも期待できる。
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