研究課題/領域番号 |
21K20855
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院医学研究所 |
研究代表者 |
石井 貴大 医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院医学研究所, がん生物研究部, 研究員 (50911989)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | TP53 / p53 / NGS / IHC / colitic cancer / dysplasia / 潰瘍性大腸炎 |
研究開始時の研究の概要 |
潰瘍性大腸炎(UC)は大腸粘膜に炎症を起こす疾患であり、慢性炎症により粘膜の異形成が生じ長期罹患例は発癌の高危険状態にある。炎症性腸疾患を母地に発生した癌では、TP53変異や経時的エピゲノム変化の蓄積が発癌の初期イベントとして重視されており、サーベイランスにおける分子マーカーとして重視される。本研究では、UC患者の生検材料アーカイブを用いて、病理組織学的異型度とp53免染結果を再評価し、さらにTP53をはじめとするドライバー遺伝子変異解析を行い、生検診断に付与する意義を検証する。
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研究成果の概要 |
研究同意が得られた23例について、外科切除材料及び生検材料を用いて組織学的異型度及びp53免疫染色の評価、大腸発癌に関連する9個のドライバー遺伝子についてターゲットシークエンス解析を行い、10例分について以下の結果を得た(13例は現在、遺伝子解析中)。 1)癌症例では、外科切除材料を用いたTP53遺伝子解析がp53免液染色よりも陽性率が高く、術前生検材料との一致率も高かった。また、遺伝子解析では約37%の症例でTP53以外にKRAS、BRAF、APC、FBXW7の変異を認めた。2)非癌症例では、術前生検材料を用いたp53免疫染色で陽性であるがTP53変異を認めない例があった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
潰瘍性大腸炎(UC)の長期罹患例ではcolitic cancerの発生リスクが高く、その初期発生に関わるp53異常は一般にp53免疫染色を参考に判定されている。本研究により、発癌症例ではターゲットシーケンス解析によるTP53変異の陽性率が高く、内視鏡生検との一致率も高いことがわかった。UC患者の発癌サーベイランスには、より精度の高いTP53変異解析の導入を検討すべきである。今後、生検材料でのデータを前向きに集積することで、早期の診断と治療介入による予後改善が期待される。
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