研究課題
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原発性アルドステロン症では、臓器障害進行抑制のために早期診断・治療が肝要であるが、現在の診断法は多段階構成で、時に多大な時間を要し、そこにアンメットニーズが存在する。本研究では、質量分析計を用いて、原発性アルドステロン症症例の副腎静脈血、末梢血中メタボロームを網羅的に解析し、アルドステロン産生腺腫の診断バイオマーカーの探索を行う。特異的分子を選別した後、内服薬に依存しない診断ツールを作成し、原発性アルドステロン症のスクリーニング、診断プロセスの効率化を目指す。
本研究では、原発性アルドステロン症(PA)計29症例(アルドステロン産生腺腫、特発性アルドステロン症)を対象として副腎静脈血および末梢血でのメタボローム解析を実施した。脂質や低分子化合物を中心とする628個の測定項目のうち、病型間で副腎静脈および末梢血に一貫性のある有意差がみられた項目は30項目程度であり、これらが原発性アルドステロン症の新規病型診断マーカーの候補分子であると判断した。続いて、症例数の増加、他条件の追加、サブグループでの解析を予定したが、世界情勢の影響を受けてメタボローム解析に使用するMxP Quant 500キットの価格高騰があり、研究期間中の測定解析は上記に留まった。
本研究を通して、原発性アルドステロン症の中でも、腫瘍性あるいは非腫瘍性といったアルドステロン産生病変の差異により、血中代謝物も異なる分泌動態を示すことが明らかとなった。また、原発性アルドステロン症の病型診断マーカーとなりうる分子を30項目程度まで絞り込むことができた。現行の診断法はレニン、アルドステロン、他ステロイドホルモンによるものが提唱されているが、それらは併用薬や測定環境の影響を受けやすいことが欠点である。上記候補分子はその点において影響を受けにくく、今後の原発性アルドステロン症診療をより簡便に、かつ効率的に改善することが期待され、健康寿命の延伸に寄与すると考えられる。
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