研究課題/領域番号 |
21K20971
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
野田 拓志 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (80909961)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 網膜 / メカニカルストレス / ミュラー細胞 / 電気生理学 / 細胞生物学 / 電気生理学的影響 / 細胞生物学的影響 / 網膜ミュラー細胞 / 黄斑上膜 |
研究開始時の研究の概要 |
黄斑上膜(ERM)は本邦で最も頻度の高い黄斑疾患である。しかし、ERMによる網膜牽引が視機能を障害する機構は不明である。申請者らは、光干渉断層計(OCT)のen face画像を用いて可視化した網膜皺襞の最大深度(最大網膜皺襞深度)が、ERMによる網膜牽引力の定量的バイオマーカーであることを世界で初めて報告した。本研究では、黄斑局所網膜電図(ERG)を用いてERMによる網膜牽引が黄斑に及ぼす影響を電気生理学的に評価し、最大網膜皺襞深度との関連を検討する。また、培養ミュラー細胞に伸展刺激を与え、メカニカルストレスが細胞に及ぼす影響を細胞生物学的に検討する。
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研究成果の概要 |
黄斑局所ERGにおいて、ERM眼は正常僚眼と比較してb波、OPsの振幅が有意に低下し、潜時が有意に延長した。またb波、OPsの振幅と最大網膜皺襞深度の間に有意な負の相関関係を認めた。最大網膜皺襞深度と内顆粒層の厚みは有意な正の相関関係を示し、外顆粒層+外網状層の厚みについては弱い正の相関関係を示した。 MIO-M1細胞およびrMC-1細胞に動的な伸展刺激を加えると、伸展と直交する方向に細胞形態が伸長して配列する形態変化を認めた。関連因子として伸展刺激によるalpha smooth muscle actinおよびtype 3 collagen、fibronectinの経時的な発現上昇を認めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
特発性ERMでは網膜牽引力依存性に網膜内層における機能的・構造的な変化が生じている可能性が示唆された。分子生物学的な観点からも、ミュラー細胞が機械的刺激に対して何らかの応答をしていることが明らかとなり、臨床的な知見を支持する結果と考えられた。しかし、その詳細なメカニズムについては明らかとなっておらず、今後のさらなる研究によって網膜牽引を伴う黄斑疾患の病態が解明されれば、病態に基づいた手術適応基準の策定や新たな手術手技開発の基盤となる研究成果が得られると期待される。
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