研究課題/領域番号 |
21K20979
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
西島 義道 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80909391)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 緑内障 / 神経保護 / 視神経再生 / AAV / TrkB / 網膜神経節細胞 / 神経軸索再生 / 遺伝子治療 / 再生治療 / 神経栄養因子 / 軸索再生 |
研究開始時の研究の概要 |
緑内障は網膜神経節細胞と視神経の不可逆性の変性疾患である。現在有効な治療法は眼圧下降による視野欠損の進行抑制のみである。本研究では脳由来神経栄養因子(BDNF)の受容体であるTrkBに注目し、独自開発した活性型TrkBベクターを用いた遺伝子治療によって、網膜神経節細胞保護療法の確立を目指し、活性型TrkBを用いた遺伝子治療が、緑内障等に対する新規治療となる可能性を模索したい。
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研究成果の概要 |
本研究では、BDNF受容体のTrkBを改変し、恒常的に活性化するFarnesylated intracellular TrkB(F-iTrkB)を作製した。F-iTrkBをAAV2ベクターを用いてマウス網膜に導入したところ、RGCの保護と軸索再生が促進された。視神経損傷モデルでは、再生軸索は視交叉まで到達したが、視覚中枢への到達は不十分だった。一方、上丘直前で切断したモデルでは、再生軸索の上丘への到達が確認された。これらの結果から、F-iTrkBによる遺伝子治療が、失明マウスの視機能を部分的に回復させる可能性が示された。本研究の成果はMolecular Therapy誌に掲載された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、視神経および神経節細胞の障害による失明に対し、遺伝子治療を用いて解決を図ろうとした研究である。研究者らが新たに開発した常時活性型TrkB分子により、緑内障モデルマウスおよび視神経損傷マウスにおいて網膜神経細胞の保護効果が認められた。また、視神経損傷マウスを用いた実験では、視神経切断により失明した個体の視神経軸索繊維の再生が認められた。さらに、上丘付近にて視神経を切断したモデルにおいては、再生により視機能が部分的に回復することが示され、将来のヒトへの応用が期待される画期的な成果であると言える。
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