研究課題
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脳海綿状血管奇形は中枢神経系に生じる血管奇形で、出血性脳卒中の主要な原因の一つである。CCM1, CCM2, CCM3遺伝子の機能喪失型変異が主な原因とされ、同遺伝子のノックアウトマウスを中心とした解析により分子基盤解明や分子標的薬開発が進められてきた。一方、ゲノム解析技術の発展に伴い脳海綿状血管奇形臨床検体における新規関連遺伝子変異の報告が現在も続いており、その病態は従来想定された以上に複雑と考えられる。本研究では、脳海綿状血管奇形において患者由来異種移植モデルを作製し、これにより患者個々の病態の不均一性までを考慮した脳海綿状血管奇形治療薬スクリーニング法および個別化治療法を開発する。
眼窩内海綿状血管奇形の遺伝子変異解析を行い、GJA4遺伝子の体細胞点変異 GJA4 c.121G>T (p.Gly41Cys)が高頻度(25/26例[96.2%])に認められることを新規に同定した。アフリカツメガエル卵母細胞やヒト臍帯静脈内皮細胞を用いた機能解析を行い、同変異がGJA4ヘミチャネルの活性を亢進させる機能獲得型変異で、これにより血管内皮細胞機能障害を引き起こすことを明らかにした。これらの結果を論文として発表した。さらにモデル動物実験として同Gja4変異ノックインマウス作製を進め、今後個体化・繁殖しより詳細な病態解明を行うための基盤を整えた。
海綿状血管奇形において新規の関連遺伝子変異を同定したことから学術的意義が大きいと考えられる。遺伝子変異の機能の一部まで明らかにしたことは、より発展的な研究にもつながる成果である。海綿状血管奇形には既存の治療方法では難治になる場合もあり新規治療法が求められていることから、本研究成果の社会的意義は大きいと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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