研究課題/領域番号 |
21K21071
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
白川 純平 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90782996)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 局所骨浸潤 / 遠隔骨転移 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / FLRT2 / 分泌タンパク質 / 口腔癌細胞 / Flrt2 / 分泌タンパク / 脈管浸潤 / 細胞間相互作用 / 癌骨転移 / 癌骨転浸潤・転移 / 癌/骨代謝細胞相互作用 / Flrt2/Unc5経路 / 分泌型Flrt2 / 新規分子標的薬 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢化に伴い国内の癌患者は年々増加している。初期に発見できれば外科手術が有効だが実際には自覚症状に乏しく発見が遅れ、その浸潤範囲を同定するのに難渋し、結果として外科的切除範囲の拡大や組織再建に加え、放射線・化学療法などの術後補助療法が必要となり、患者のQOLは急激に低下する。予後不良な転移として骨転移があるが、癌細胞の骨浸潤・転移における機序は完全には明らかになっておらず、治療は破骨細胞の分化を阻害することで間接的に癌細胞の骨内浸潤・進展に対抗するものが主体である。癌細胞が骨浸潤・転移する上で骨代謝細胞に作用する新たな機序を検証することで、有効な癌骨浸潤・転移治療法としての可能性を検討する。
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研究成果の概要 |
骨芽細胞においては、分化誘導実験においてFlrt2の発現低下を認めた。腫瘍組織検体を用いたRNAシーケンスでは、脈管浸潤を示すグループで発現に変化を認めた遺伝子の解析から、FLRT2の有意な発現増加が見られた。数種の口腔扁平上皮癌細胞株内における発現を再検した結果、細胞株ごとに大きく発現、分泌型タンパク質が異なっていた。骨芽細胞株MC3T3E1及び癌細胞株SKN3にFLRT2を過剰発現させた結果、骨芽細胞では増殖および分化の減少を、癌細胞では増殖の亢進を認めた。以上の結果から、FLRT2は破骨細胞では促進的に、骨芽細胞では抑制的に作用することが示され、癌細胞では増殖に寄与することが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
FLRT2の発現は癌の種類によって異なり口腔癌における検討は多くはなされていなかった。今回の研究で脈管浸潤を示した検体でその発現の増加が見られたことは本研究の仮説と合致する。既報の破骨細胞における作用に加え骨芽細胞ではその発現が分化の過程で減少していくこと、過剰発現により分化を抑制することが明らかとなったことで癌細胞により分泌されるFLRT2が骨代謝細胞に作用する可能性が示唆された。 これはFLRT2が癌の予後因子の候補となるだけでなく分子標的治療の対象としても大変重要であり今後の口腔癌治療に寄与することが期待できる。
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