研究課題/領域番号 |
21K21085
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岸本 聡子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70912228)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 口腔癌 / Wntシグナル / EMT(上皮間葉転換) / CSC(癌幹細胞様細胞) / GATA6 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔癌は高い局所浸潤性とリンパ節転移能を有し、予後に大きな影響を与えている。しかしながら、癌細胞の進展および転移のメカニズムは未だ明らかにされていない。癌細胞の進展、転移においてはEMTやCSC形質の獲得が関与しており、その誘導因子としてWntシグナルが知られている。本研究はヒトOSCC細胞株を用いて、安定的なWnt5b高発現株および発現抑制株を樹立し、Wnt5bにより変化するEMTならびにCSC形質獲得に関与する因子を解析し、Wnt5bによるEMTおよびCSC形質誘導の分子メカニズムの詳細を明らかにすることで、Wnt5bを標的とした口腔癌の進展、転移を制御する新たな治療法の開発を目的とする。
|
研究成果の概要 |
ヒトOSCC細胞のマウス頸部リンパ節高転移株(V-SAS-LM8)においてはWnt5bの発現が上昇しており、Wnt5bはEMTの亢進およびCSC形質の獲得に寄与している。がん遺伝子とされるGATA6をV-SAS-LM8に過剰発現させたところEMT誘導が抑制され、Wnt5bの発現も減少した。一方で、Wnt5bの受容体発現についてはGATA6の影響は確認できなかった。ヒトOSCC細胞におけるWnt5bの発現はGATA6のEMT誘導抑制機構と関与している可能性が示唆されたが、受容体の発現は、GATA6とは別の機構により制御されているか、あるいはWnt5bの濃度依存的に変動すると考えられた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、EMTが亢進しているヒトOSCC細胞のマウス頸部リンパ節高転移株において高発現を認めたWnt5bに着目することにより、口腔癌におけるWnt5bの腫瘍進展ならびに転移への関与についての分子基盤の一端を明らかにしようとするものである。 本研究により、Wnt5bはEMTの亢進だけでなくCSC形質を誘導する可能性が示唆された。また、がん遺伝子とされるGATA6によりEMTとWnt5bの発現が抑制されることが見いだされた。口腔癌治療において、Wnt5bだけでなく、その制御因子としてのGATA6をも標的とする新規の治療法開発への基礎を築くことが期待できる。
|