研究概要 |
国際GEOTRACES計画の一環として,インド洋のアラビア海から南極海に至る海域において,海水中のバリウムの南北縦断分布を明らかにした.また,古海水栄養塩濃度のプロキシーとしてのバリウムの有用性を確かめるために,バリウムに対するケイ酸塩/硝酸塩比の関係 (Ba-Si/Nダイアグラム)は直線性を示した. この直線の傾きは東インド洋南北断面観測結果とほぼ同等であった.一方,表層堆積物コアを試料を用い,間隙水中溶存バリウムの南北縦断 分布も明らかにし た.堆積物中重晶石の溶解度と比較したところ,アラビア海海底では間隙水中バリウムが極めて過剰に存在していることが判った.海水中バリウムの南北縦断分布において,アラビア海における近底層中に溶存バリウムの高濃度域が存在するが,これは間隙水を経由したバリウムの拡散溶出に原因があることが示唆された.
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