研究概要 |
相平面解析法を整備・構築し,低次元の線形微分方程式系・半分線形微分方程式系・準線形微分方程式系の平衡点(または零解) が漸近安定性,大域的漸近安定性,一様大域的漸近安定性であるかどうかを判定する基準を解明した。得られた基準は小型船の自由横揺れ運動の解析に応用された。小型漁船の自由横揺れ運動に作用する抵抗は主に3種類あることがよく知られている。即ち,摩擦抵抗と造渦抵抗(粘性圧力抵抗とも呼ばれる)と造波抵抗である。造波抵抗は角速度に比例するが,摩擦抵抗と造渦抵抗は角速度の自乗に比例する。そのため,横揺れの運動方程式は優線形振動子で記述されなければならない。この研究で,優線形振動子の平衡点が大域的漸近安定になるための必要十分条件が見出された。上記の基準は,環境の時間変化の影響を受ける被食者(または捕食者)をもつロトカ-ボルテラ型捕食者・被食者モデルにも応用された。このモデルは生態モデルとして有名であり,内部平衡点が唯一つ存在する。この研究で,内部平衡点が大域的漸近安定になるための十分条件が得られた。さらに,被食者の移入を考慮したローゼンツウァイク-マカッサー型捕食者・被食者モデルの極限閉軌道の一意性問題についても議論した。
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