研究概要 |
本研究は,木質文化財資料に注入した異質な炭素を含む保存剤(PEG)をほぼ完全に除去し,信頼できる放射性炭素(14C)年代を得るための基礎研究である.現状では,含浸されたPEGを2%残すまでに除去できたが,完全に除去する方法を確立するまでには至っていない.しかし,洗浄処理後の木質試料の14C年代を測定し,さらに試料中にわずかに残留するPEGを定量して,その効果を補正することにより,木質試料のより確からしい本来14C年代を得ることが可能である.保存処理されている多くの貴重な木質文化財に対して高精度の14C年代測定が可能になり考古学・文化財科学における編年研究が益々進展するものと期待される
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