研究概要 |
1、次に我々は肺線維症合併肺癌症例のヒト肺標本を用いて同一肺葉内の3箇所(正常部、線維化部、癌部)のEMT関連遺伝子(TGF-β1, TGF-β2, TGFβ-3, Snail, Sip1, Twist, E-cadherin, N-cadherin, vimentin遺伝子)の発現を調べた。線維化部および正常部、癌部においての発現を比較したが、肺線維症合併肺癌において上皮間葉転換機構の関与を積極的に示唆する結果は得られなかった。2、原発性非小細胞肺癌症例104症例において肺線維症合併症例4症例は非合併症例100症例と比較し、全生存率が予後不良であった。EMT関連遺伝子Brachyury遺伝子のmRNAの発現を調べ、高発現症例では全生存率および無再発生存率が有意に低く、IL-8、Slugの発現促進、E-cadherinの発現抑制を介したEMT機構を介した予後不良因子であった。しかしながら肺線維症の予後不良の原因として関連づけることは、できなかった。
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