研究課題/領域番号 |
22H00026
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
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研究分担者 |
箱崎 真隆 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30634414)
門叶 冬樹 山形大学, 理学部, 教授 (80323161)
三宅 芙沙 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90738569)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 炭素14年代法 / 年輪年代法 / 較正曲線 / 地域効果 / 弥生・古墳 / 弥生時代 / 古墳時代 / 弥生 / 古墳 |
研究開始時の研究の概要 |
過去1万年間で最も較正誤差が大きい時期の一つ,いわゆる「2,400年問題」に焦点を当て,1年輪単位の炭素14測定を網羅的かつ反復して実施する。これにより,日本列島周辺の炭素14濃度の挙動を精密に復元し,誤差の小さい暦年較正を実現する。
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研究実績の概要 |
弥生開始期と推定されていた,三重県で出土したケヤキ材の単年輪14C測定を実施した。ところが,並行して実施した酸素同位体比年輪年代法により紀元前4世紀の資料であることが判明し,結果的に弥生前期末から中期初のデータが得られた。IntCal較正曲線と比較すると,紀元前4世紀初頭ははやや古く,350BCにかけて若干新しくなり,紀元前4世紀後半は古めに推移する。この時期は樹木年輪資料の入手が難しく,詳細な挙動を明らかにすることができた。 宮城県仙台市中在家南遺跡で出土したケヤキ材は,これまで隔年だった測定の単年輪14C測定を実施した。紀元前40年から紀元後130年にかけてのデータが得られた。1世紀から3世紀のIntCal較正曲線は日本産樹木年輪のデータが採用され,従来から形状が変更されている。中在家南ケヤキ材も基本的には改訂されたIntCal較正曲線に沿った挙動を示しているが,2世紀前半はやや従来の形状に近づいている。一方,韓半島南部の古村里遺跡で出土した同時期のノグルミ材はむしろ従来のIntCal較正曲線に沿った挙動を示していて,東アジア地域における大気中14C濃度の複雑な地域効果を反映していると考えられる。この成果は,すでに測定済だった鹿児島県鹿屋市白水B遺跡出土センダン材(紀元前1053-921年)とともにチューリヒで開催された第24回放射性炭素国際会議・第10回炭素14と考古学国際会議で口頭発表し,Radiocarbon誌に投稿した。 なお,時期・地域による大気中14C濃度のより詳細な検討を行う目的で,長野県伊那山中ヒノキ(798-1055年)と三重県専修寺ヒノキ柱(1068-1436年)の単年輪14C測定を実施した。前者は全年輪の測定が終了し,後者は隔年での測定で今後も継続を予定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
弥生期の樹木年輪の確保が遅れている。開始期と目された三重県のケヤキ材が想定より新しい可能性があり,他の資料を入手する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
三重県出土のケヤキ材は他に数点を確保済で,酸素同位体比年輪年代法による年代判定を進めつつ,単年輪14C測定を実施する。また,鳥取市本高弓ノ木遺跡では弥生開始期にかかるケヤキ材が出土していて,その入手について担当者と検討を進める。 弥生中期から後期については,すでに5年輪を1試料とした樹木年輪の,単年輪による14C再測定を進める。飯田市上郷畑の沢地区ヒノキ(紀元前629-195年)は資料入手の難しい時期に相当し優先度が高いが,年輪幅が狭く慎重な資料処理が必要である。飯田市遠山川河床ヒノキ(52-542年,365-541年)も年輪幅の狭い箇所が多く,慎重に進める。 日本列島と韓半島南部との間で明らかになった大気中14C濃度の地域効果を検証するために,韓国地質資源研究院(KIGAM)と連携しながら,引き続き韓国出土の木材の単年輪14C測定を進める。
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