研究課題/領域番号 |
22H00298
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩本 敏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40359667)
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研究分担者 |
太田 泰友 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (90624528)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,860千円 (直接経費: 32,200千円、間接経費: 9,660千円)
2024年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2023年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2022年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | フォトニック結晶 / 非線形光学 / トポロジー / トポロジカルフォトニクス |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジカルナノフォトニクスを線形光学の枠を超えて非線形光学領域へと展開する。具体的には、半導体バレーフォトニック結晶で実現されるトポロジカルスローライト導波路の低分散化を図り高効率な四光波混合を誘起することにより、構造揺らぎなどがあっても高い効率を示すパラメトリック増幅や高い量子相関を示す量子もつれ光子対生成の実現を目指す。さらに、バレーフォトニック結晶を積層することで発現する新たな光局在状態とそれを用いた高調波発生を実現する。これらの研究をとおして、新奇オンチップ非線形光学デバイスの可能性を探求し、“非線形トポロジカルナノフォトニクス”という新分野の開拓に挑む。
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研究実績の概要 |
バレーフォトニック結晶を用いたスローライト導波路について、構造変調による分散制御の可能性を数値的に検討した。その結果、界面周辺の円孔サイズと位置を制御することで、効率的な非線形光学効果の実現に必要な低群速度分散特性を実現できる可能性が見出された。また、非線形光学効果の観測に必要なトポロジカルスローライト導波路への高効率光入射を可能にするカプラ構造を設計し、シリコンバレーフォトニック結晶導波路を用いた実験によりその効果を実証した。また、機械学習を活用した群速度分散やカプラ構造の最適化の検討を開始した。 バレーフォトニック結晶を積層した構造を数値計算により検討した。InPおよびSiをスラブ材料としたハニカム格子フォトニック結晶を出発点とし、ABサイトの孔サイズを変えつつツイスト積層構造を調べた。その結果、特定の設計パラメータ、ツイスト角において光局在が発現することを確認した。また、その共振器状態について系統的に調べQ値が1000を超える構造を明らかにした。設計した構造の作製にも取り組んだ。InPを母材としてプロセス開発を進め単層フォトニック結晶の作製と転写プリント法を用いた積層構造の作製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トポロジカルスローライト導波路については、数値解析による分散制御の可能性の確認、今後の実験で重要となる高効率カプラの設計・実証のほか、当初想定していなかった機械学習のトポロジカルスローライト導波路やカプラの設計への適用についても目処がたった。 積層フォトニック結晶については、数値計算手法の開拓により、想定以上のペースで積層バレーフォトニック結晶に関する光学設計が進展している。作製プロセス開発については、単層構造を比較的高い精度で作製することに成功しており、同技術をベースとしてツイスト積層構造の作製が順調に進んでいる。転写プリント法を用いた積層プロセスにおいて回転角・位置合わせ精度に課題があるものの、今後の解決が見込まれる。 以上から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
スローライト導波路については、機械学習を活用してより広い帯域で低群速度分散を実現できる構造の設計を目指すとともに、実際にデバイスを作製し、まず線形光学特性の評価を行なう。 積層フォトニック結晶については、非線形光学効果の探求に適した高Q値共振が可能な構造の探求を目指す。また、モード体積が小さな光共振の可能性も検討する。作製プロセス開発においては、回転角調整手法の検討を進め、より高精度な積層構造の作製を目指す。
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