研究課題/領域番号 |
22H01780
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
清水 陽一 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (20192114)
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研究分担者 |
高瀬 聡子 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (60239275)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | センサ / 環境イオン / 光音響デバイス / 固体電解質 / 化学センサ / 水質計測センサ / レセプタ / トランスデューサ |
研究開始時の研究の概要 |
環境計測用センサデバイスは、社会的にも重要な分野の一つであり、1990年代からセンサの開発は大きく進展しているが、水環境センサについては、その規制がまだ厳しくないこと、検知手法に大きなブレークスルーがなかったため、開発は大きく立ち遅れている。このためには、本研究グループでは、小型簡易型の環境イオン計測用センサの開発が、水環境保全の鍵と考えている。そこで、本研究では、光音響分光デバイス等の小型で高性能なトランスデューサを用いる新規な高性能環境汚染イオン物質濃度検出センサの設計開発を目指す。
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研究実績の概要 |
肥料や各種添加物から環境水中へ流出されるリン酸(水素)イオン、(亜)硫酸イオンや(亜)硝酸イオンなどのアニオンは、河川、湖沼、湾内などの閉鎖系水域における富栄養化等の主因となる環境汚染物質であり、国内だけでなく、農業国の東南アジアや国内でも大きな問題となっている。また、環境水の検出は、SDGsの#6(安全な水)にも大きく関与するため、地球規模で解決すべき大きな課題でもある。 本研究では、これらの水環境問題を解決するために、環境水中でのイオンを高感度で検知できる全固体型環境イオンセンサデバイスを構築することを最終目的としている。 当該年度は、まず、各環境イオンと大きな相互作用を示すレセプタ材料候補の探索、合成と評価を行った。レセプタ材料には、化学的安定性と電子導電性を有し、主に環境イオンとなる各種アニオンとの相互作用が期待される複合酸化物を検討した。酸化物には、従来の研究も踏まえ、電極触媒活性が期待される種々のペロブスカイト型酸化物(ABO3)、スピネル型酸化物(AB2O4)、 (A: La, Sm, Gd, B: Fe, Co. Ni, Cu)等を取り上げ、それらは主に高分子錯体前駆体法により作製した。これらの酸化物レセプタのキャラクタリゼーションは、XRD,XPS,SEM,TPD,TEM等により精密に行い、レセプタの構造・物性解析を行った。 センサ素子の精密成形法として、酸化物粉末から電気泳動析出法により厚膜電極を作製する手法をほぼ構築した。 センサ応答としては、まず各種レセプタ電極を用いて電気化学測定により各酸化物レセプタと環境イオンの相互作用を検討した。その結果、Sm-Cu-O系酸化物が亜硫酸イオンに、Cu-Co-O系酸化物が硫酸イオンに、大きな相互作用を示すことを初めて見出した。特に硝酸イオンは検知が難しく、これまでほとんど報告がないため、大きな収穫があったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標である検知機能を有するレセプタ材料の設計開発として、各種複合酸化物を取り上げ、亜硫酸イオンと硝酸イオンに応答する新しいセラミックス材料を見出した。特に、硝酸イオンはレドックスしにくい材料であり、硝酸イオン検知材料候補を見出したことは大きな進展と言える。 また、レセプタのトランスデューサへの接合方法として、電気泳動析出法に取り組み、酸化物粉末を分散させた溶液から、定電位での電着で厚膜の作製に成功しており、今後のデバイス化に適応可能な手法を確立しつつある。 さらに、当研究で提案している測定手法は応用の幅が広く、固体トランスデューサーとゼオライトを組み合わせたこれまでにほとんど例のない化学センサを開発することができた。この成果は、2022年3月の電気化学会で発表することができた。また、本関連センサについての内容は、6月の国際会議(招待講演)、7月の国内学会で発表が決定しており、本研究は予定通りの進展状況と言える。
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今後の研究の推進方策 |
複合酸化物系のレセプタが、硝酸イオン、亜硫酸イオンなどの各環境イオンに応答することが分かったので、さらにそれら材料のさらなる性能向上を進めるとともに、さらにこの探索手法を駆使して種々のイオンに対する新規酸化物系レセプタ材料の設計・開発を引き続き進める。また、レセプタ材料として新たにフタロシアニン錯体などの有機金属錯体や、ゼオライトなどの絶縁体系、金属合金なども取り上げ探索を進める。 次に全固体センサとしてこれらのレセプタ材料と固体トランスデューサとして、まずは、最初の段階として常温で高導電性を示すNaイオン導電体との組み合わせたデバイスを試作し、応答特性を検討する。次に、光音響デバイスを固体トランスデューサとする全固体型環境イオンセンサ素子を構築する。 さらに、レセプタとトランスデューサ界面の電気化学インピーダンス解析、レセプタの酸・塩基点との相関等を分析解析し、センサの作用機構を明らかにする。
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