研究課題/領域番号 |
22H01804
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
亀岡 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60312823)
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研究分担者 |
許 亜 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, 主幹研究員 (00370304)
野澤 和生 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (00448763)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 箔型金属触媒材料 / ナノカーボン合成反応 / メタラジ― / 箔型金属触媒 / ナノカーボン合成 / 結晶方位 / 結晶粒界 / 圧延銅箔 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、金属箔は高い加工性、熱伝導性ならびに物質移動性を持ち、従来のナノ粒子金属触媒とは異なるユニークな特長を持った新しい金属触媒材料(バルク型)として注目されている。しかし、箔型金属触媒は新しい触媒材料であるため反応に関わる本質的な活性部位を直接評価できるキャラクタリゼーション法が未だ確立されていない。本研究において、我々は箔型金属触媒の活性部位を直接評価するための新規な方法として、反応サイトとなる金属の種類や構造・形態に非常に敏感なナノカーボン合成反応をプローブにすることを提案しその有効性を検証し、箔型金属触媒材料のメタラジー構築とその高性能な材料開発に繋げる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ナノカーボン合成において、ナノカーボンの構造・形態が活性サイトとなる金属種の表面状態・構造に非常に敏感であることを利用することで、箔型金属触媒の活性部位を直接評価する新規なキャラクタリゼーション法として、ナノカーボン合成反応をプローブにすることを提案しその有効性を検証することである。本年度は、金属箔表面に存在する結晶配向面、粒界、格子欠陥、結晶歪の効果に着目し圧延銅箔におけるNO+CO反応の触媒特性と表面組織変化の相関を調査した。圧延銅箔の反応特性(ヒステリシスにおける活性向上)は,従来の担持銅触媒と大きく異なることが分かった。また、反応前後の圧延銅箔の表面構造を比較すると、反応後に結晶粒界が顕著になり、また結晶方位によって表面状態が変化していることが確認された。圧延銅箔のNOおよびCOとの表面反応性の結果から、これらの原因は主にNOによる酸化であることが判明した。その結果、NO+CO反応時の酸化還元過程で形成されるマイクロファセット(粒界部など)を有する荒れが反応サイトとして重要な役割を果たすため、活性度の向上が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、バルク金属(プレート、箔、モノリス、ガーゼなど)を触媒材料とした構造体触媒(Structured catalyst)が良く知られているが、必ずしも金属構造体そのものを触媒物質として組成・組織制御するものではなく、金属材料・加工をベースとした触媒材料開発は未開拓分野であった。今回、金属箔触媒として圧延金属が有効な材料であることが判ったことで、適応できる金属材料の範囲が広がった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き熱処理のみで微細な金属組織制御が可能なFCC系単一金属(Cu, Ni)および非固溶合金系Cu-Co, Cu-Feを用いる。状態図を基にしてCuに対するCo, Feの固溶量を決定し、各種熱処理を施すことで析出するCoやFeのサイズや結晶方位の制御のチャレンジする。試料はアーク溶解法によりCuとCo (or Fe)を溶かし合わせ、液体急冷法によってCu中にCo (~ 1 at.%)を強制固溶させた箔状の試料を作製する。これらについて結晶粒成長、酸化、組織決定の目的で熱処理を施し、ナノカーボン生成処理を行う(例えば、50%C2H4 + 50%H2, 300~600℃, 5~60 min.(標準条件として))。そして、反応前後の試料の組織変化とナノカーボンの構造・形態を昨年度に引き続き詳細に調べる。さらに、適宜金属・合金系を拡張し(Cu-Ni, Ag-Fe, Ag-Co, Ag-Niなど)、液体急冷法と圧延法を用いて各種箔型金属試料を作製する。そこで、ナノカーボン合成反応処理前後での、XRDおよびSEM-EBSDを用いてバルクならびに表面方位変化を調べその相関性を明確にする。また、処理条件(箔厚、熱処理など)が微細組織(配向性や粒径)に及ぼす影響についても詳細に調べる。そして、反応前後の試料の組織変化とナノカーボンの構造・形態などをFE-SEMならびにTEM観察を行う。これと並行して、上記の実験結果を踏まえて、各種金属の各結晶面における炭素種の形成エネルギー計算及び析出する金属ナノ粒子の配向性や安定構造に関する理論計算も合わせて行う。また、ここで得られた知見を金属析出処理条件や合金系の選択にフィードバックする。
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