今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き熱処理のみで微細な金属組織制御が可能なFCC系単一金属(Cu, Ni)および非固溶合金系Cu-Co, Cu-Feを用いる。状態図を基にしてCuに対するCo, Feの固溶量を決定し、各種熱処理を施すことで析出するCoやFeのサイズや結晶方位の制御のチャレンジする。試料はアーク溶解法によりCuとCo (or Fe)を溶かし合わせ、液体急冷法によってCu中にCo (~ 1 at.%)を強制固溶させた箔状の試料を作製する。これらについて結晶粒成長、酸化、組織決定の目的で熱処理を施し、ナノカーボン生成処理を行う(例えば、50%C2H4 + 50%H2, 300~600℃, 5~60 min.(標準条件として))。そして、反応前後の試料の組織変化とナノカーボンの構造・形態を昨年度に引き続き詳細に調べる。さらに、適宜金属・合金系を拡張し(Cu-Ni, Ag-Fe, Ag-Co, Ag-Niなど)、液体急冷法と圧延法を用いて各種箔型金属試料を作製する。そこで、ナノカーボン合成反応処理前後での、XRDおよびSEM-EBSDを用いてバルクならびに表面方位変化を調べその相関性を明確にする。また、処理条件(箔厚、熱処理など)が微細組織(配向性や粒径)に及ぼす影響についても詳細に調べる。そして、反応前後の試料の組織変化とナノカーボンの構造・形態などをFE-SEMならびにTEM観察を行う。これと並行して、上記の実験結果を踏まえて、各種金属の各結晶面における炭素種の形成エネルギー計算及び析出する金属ナノ粒子の配向性や安定構造に関する理論計算も合わせて行う。また、ここで得られた知見を金属析出処理条件や合金系の選択にフィードバックする。
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