研究課題/領域番号 |
22H04998
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分J
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石井 信 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90294280)
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研究分担者 |
森本 淳 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10505986)
Seymour Ben 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (10644057)
吉田 和子 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 客員研究員 (30379599)
Parmas Paavo 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (50936309)
雨森 賢一 京都大学, 高等研究院, 特定拠点准教授 (70344471)
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研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
193,570千円 (直接経費: 148,900千円、間接経費: 44,670千円)
2024年度: 37,440千円 (直接経費: 28,800千円、間接経費: 8,640千円)
2023年度: 39,520千円 (直接経費: 30,400千円、間接経費: 9,120千円)
2022年度: 49,920千円 (直接経費: 38,400千円、間接経費: 11,520千円)
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キーワード | 敵対生成脳 / 意思決定 / 計算神経科学 / 強化学習 / ロボティクス / 計算論的神経科学 / 敵対的生成ネットワーク / Artificial Intelligence / Meta learning / Agile robotics / Artificial intelligence |
研究開始時の研究の概要 |
人工知能技術の進展により、画像、音声、言語などの認識系では人間の能力を凌駕することに成功したが、未だ一般化知能の実現には遠い。運動系や意思決定系などではビッグデータを準備することは一般に困難であり、高サンプル効率の学習法の導出に期待されている。本研究では、高等生物脳の高サンプル効率の学習を理論化しようとする「敵対生成脳」を作業仮説とし、その脳内機構をヒト・霊長類の計算神経科学研究により明らかにし、機械学習アルゴリズムとして導出、さらに、人と共創するロボティクスに応用するという学際的な研究を進める。環境に複数のエージェントが存在する状況(マルチエージェント環境)への展開も進める。
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研究実績の概要 |
ヒト視覚弁別課題(自然画像と人工画像とを識別する課題)における識別機能を探るため、敵対深層学習に基づき特定の特徴量を段階的に制御可能な画像生成法を開発した。この成果は、(Fujimoto, et al., Neural Networks, 2022)として国際学術専門雑誌として掲載されると共に、京都大学よりプレスリリース、日本経済新聞社より報道された。 ヒト脳内の識別器の機構を明らかにするために、経験に基づく自己の行動選好(価値関数)と行動観察に基づいて推定される他者の行動選好を統合する社会的意思決定課題を開発した。自己学習時と他者行動観察時のモデル学習をそれぞれ強化学習法と逆強化学習を用いてモデル化し、大脳基底核の異なる部位が学習に関わることを示唆する結果を得た。 マカクザルを用いて、敵対生成脳の識別器および生成器の回路同定を進めた。特に、生成器・識別機の相互作用に重要な、サルの大規模ネットワークの領野間相互作用の解析を進めた。 従来の見まね学習では、比較的単純な動作課題に対して、単一の熟練者(エージェント)のデモンストレーションデータを用いて学習を行っていた。タスクが複雑になると、多数のエージェントの動作から学び取る必要がある。そこで、敵対生成脳の仮説に基づき、敵対するチーム同士のデータから複雑なタスクとして、チーム戦略を見まね学習する方法論の開発を進めた。さらに、リカレント型ニューラルネットワークと深層強化学習を階層的に組み合わせることで、環境に応じて歩容を変化させることのできる4脚ロボットシミュレータの歩行学習法の開発を進めた(論文投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、8つのサブ研究課題からなる融合・学際的研究を進めるものであるが、全てのサブ課題において、順調に研究が進展している。 項目(a-1) 「視覚弁別課題遂行時の脳識別器のモデル化」において、2022年度のコロナ禍後の実験装置のフル再稼働に時間がかかったなどにより、実験装置のレンタルに関わる経費などを次年度(2023年度)に繰り越した。また、項目(a-2)「マルチエージェント転移学習課題遂行時の脳識別器のモデル化」において、コロナ禍後の実験装置のフル再稼働に時間がかかると共に、海外渡航制限のため在英中の研究分担者が訪日することが難しくなった。2022年度に予定していた実験を年度内に実施できなかったため、関連経費を次年度(2023年度)に繰り越した。 こうした繰越が発生したもの、2023年度末の時点で全て回復済(実験など実施済)であり、2022年度計画は順調に完了したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、8つのサブ研究課題からなる融合・学際的研究を進めるものであるが、2023年度以降も、全てのサブ課題において当初計画通りに研究を進める。特に、計算神経科学研究として成果があがっているサブ課題(a-1)(a-4)などは論文化を加速するとともに、そこで出てきた成果についてプレスリリースなどを通したアウトリーチ活動を行う。また、工学系研究に関わるサブ課題(b-1)(c-1)はハイインパクトな国際会議での論文掲載を目指す。サブ課題(b-2)(c-2)は結果の可視化も重要であり、論文化と並行して映像化なども検討する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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