研究課題/領域番号 |
22K01448
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
内藤 巧 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80314350)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 国及び部門特殊的な貿易自由化 / 有向技術変化 |
研究開始時の研究の概要 |
国及び部門特殊的な貿易自由化が世界的な経済成長に与える影響を理論的に明らかにするために,Acemoglu (2002)の1国有向技術変化モデルを非対称2国モデル化することによって,国及び部門特殊的な貿易自由化が世界的な経済成長及び各国のスキルプレミアム(熟練労働の非熟練労働に対する相対賃金率)に与える影響を調べる.初めに,国及び部門が対称的な均斉成長経路の周りで解析的結果を導出する.次に,現実のデータを再現する非対称的な均斉成長経路の周りでも同様の定性的結果が得られるかどうかを調べるために,exact hat algebraを用いた反実仮想シミュレーションを行う.
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研究実績の概要 |
本研究では,(i)基本モデルの構築,(ii)解析的結果の導出,(iii)exact hat algebraによる数値計算,(iv)拡張による頑健性チェック,という4つのステップを踏み,研究を進めることが計画されていた.このうち,ステップ(iii)までは前年度までに一応の結果を得ていた. 本年度は,ステップ(iv)に着手した.拡張の方向としては,第一に機械部門に企業異質性を導入すること,第二に貿易費用に輸入関税を追加することが考えられていた.第一の拡張については,前年度までに同質企業の下で得られた定性的結果が異質企業の下でも同様に得られることを確認した.この結果は,論文``Country- and sector-specific trade liberalization, directed technical change, and long-run growth''に加筆されている. 一方,第二の拡張については,税収をもたらす輸入関税等の貿易政策は氷塊型貿易費用に比べてモデル化が非常に難しい.本年度は,その準備として,静学的な多数国多部門一般化重力モデルを構築し,最適貿易政策を特徴付けた.また,ある国の労働賦存量がゼロに近付くときその国の国内財への支出割合がゼロに近付くという反事実的な結果が,その国の貿易費用を適切に調整することによって回避されることを発見した.これらの結果は,論文``The small open economy in a generalized gravity model'' (with Demidova, Kucheryavyy, and Rodriguez-Clare)にまとめられている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,(i)基本モデルの構築,(ii)解析的結果の導出,(iii)exact hat algebraによる数値計算,(iv)拡張による頑健性チェック,という4つのステップを踏み,研究を進めることが計画されていた.このうち,ステップ(iv)における第一の拡張までは結果を得ている.第二の拡張に向けても,静学的環境における分析を概ね終え,動学的環境に接続する段階まで来ている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,4つのステップのうち(iv)拡張による頑健性チェックにおける第二の拡張として,貿易費用に輸入関税を追加することを考えている.前年度に得た静学的環境における結果をベースラインとして,これまでに構築した非対称2国有向技術変化モデルに,税収をもたらす輸入関税等の貿易政策を導入する.その上で,輸入関税引き下げの効果を氷塊型貿易費用低下の効果と比較する.
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