研究課題/領域番号 |
22K01876
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
須川 亜紀子 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90408980)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 2.5次元 / ファン研究 / グローバルファンダム / アイデンティティ / 若者文化 / デジタル文化 / ファンダム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、キャラクターを介した「2.5次元」というツールが、アイデンティティ構築および“積極的”偽装・隠蔽を通じてどのように作用し、コミュニケーションを円滑化するのかを明らかにした上で、デジタル時代の国内外の若者が抱える複雑な問題の解決や、他者理解、AIなどのテクノロジーとの共存といった課題に貢献できる可能性を、文献調査と量的・質的調査を通じて明らかにする。本来自らのアイデンティティを隠して交流することは他者理解とは程遠いはずだが、この矛盾ともいえる交流が、高齢化・孤立化の進む社会で今後日常生活に浸透すると予想されるAI見守りロボットなどのテクノロジーとの共存の課題との接続を試みる。
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研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナ感染症拡大のため、海外調査は次年度以降に延期した。それ以外では、①文献調査、②グローバルファンダム研究の事例の調査とまとめ、③国内の2.5次元文化イベントでの参与観察を中心におこなった。また、④関連論文を含めた書籍を2点を出版、学術発表を行った。 まず、①文献調査では、ファン研究に関するものはもちろん、アイデンティティ研究に関する日本語と英語で出版されている文献を精査した。特に、ポストヒューマン、AIとのコミュニケーションに関しても調査を進めた。 ②私も参加している、南カルフォルニア大のジェンキンズ教授が主導したグローバルファンダムの報告書全体をまとめ、データベース化し、世界のファンダムとコンテンツの関係を分析した。日本で「2.5次元」と呼ばれている文化事象と類似する点が多く見受けられたが、多メディアで展開されるファンの行動が多彩であり、来年度以降現地調査を行う必要性を確認した。 ③国内の2.5次元文化イベントに極力参加し、コンテンツの内容とファンの行動を調査した。特に、「超歌舞伎」(ホログラムである初音ミクの歌舞伎俳優との共演)、「ヒプノシスマイク」などホログラムキャラクターのコンサートなど、テクノロジーによるキャラクターと生身の人間との関係性の変化を体験できるイベントが増えており、2.5次元は若い世代中心に実践されているという前提が揺らぐ事例があった。この点は、今後も継続して研究する予定である。 ④War as Entertainment(Routledge), Mechademia: Second Arc "2.5D Culture"(University of Minnesota Press)を出版した。また、オンラインで英国のセインツベリー日本藝術文化研究所、アメリカのアジア研究学会大会(AAS)において学術発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染の影響で、海外調査の調整ができず、本年度は国内でできる調査のみに限った。また、7月に足にケガをしてしまい、数か月間自由に動けず、予定していた調査の時間が十分とれなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、海外調査を再開する予定である。また、今年度行った文献調査をさらにすすめ、非実在の対象物(キャラクター、AIによるチャットボットなども含む)に対する認知や情動、その共有や共感方法に関して、アジア、欧州、北米の調査を進めていく予定である。
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