研究実績の概要 |
本研究では現実的な初代星団(First Star Cluster)での初期質量関数や連星頻度などの物理量を導出することを目指している。昨年度に引き続いて以下のような研究を行った。
1)原始星合体条件の決定:現実的な初代原始星連星の合体条件に関する論文を完成し、The Astrophysical Journalにおいて出版した(The Astrophysical Journal, Volume 950, Issue 2, id.188, 12 pp.)。 2)初代星形成環境での乱流磁場強度の決定:昨年度までの研究でコア収縮期の乱流の増幅メカニズムおよびサチュレーションレベルは明らかとなっているので、それに伴ってスモールスケールダイナモでどれだけ磁場が増幅されるのかを数値的に調べ、かつこれまで等温近似で構築されていた解析的な見積もりを初代星形成環境に適用できるように拡張した。その結果、最初の星が形成される崩壊期までの様々なγeffに対して、数値計算結果は拡張された解析的理論によってよく再現されることがわかった。磁場は小スケールダイナモと非線形ダイナモ効果によって最終的に1e12-1e15倍に増幅され、乱流エネルギーの3%-100%に達することがわかった。これは明らかにその後の質量降着期においてダイナミクスを変えうる強度であり、初代星形成における磁場の重要性が明らかとなった。この研究はThe Astrophysical Journal, Volume 962, Issue 2, id.158, 12 pp.に発表された。 3)昨年度から続いて質量降着期の円盤分裂が有効γによって大きな影響を受けることを調べている。大筋では理解できたが、初代星形成環境では必ず重要となるので、乱流の影響を調べる必要があり、現在その計算を行なっている。
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