研究課題/領域番号 |
22K03844
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
松井 伸介 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50612769)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | AFM / GaN / ナノスクラッチ / 液中雰囲気 / ポリシング / パワーデバイス |
研究開始時の研究の概要 |
GaNに代表される次世代パワーデバイス用半導体等の難加工材に対する高品位で経済的な研磨技術の確立が求められている。その目的のために、スラリーの液の化学的作用、紫外線照射による光化学反応、電気化学作用等の援用が行われている。しかし、この援用によっても現状では不十分である。本研究では、研磨加工の複雑な現象をそれぞれの要素を分離し現象を把握して技術の最適化を目指す。まず砥粒の直接作用として、AFM触針のティップを研磨におけるナノスケールの切れ刃と模擬し、スクラッチ加工により検討する。その際、液中で行いアルカリ、酸化剤等を混入、光ファイバを用いての紫外線の局所照射によって、援用の効果を直接評価する。
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研究実績の概要 |
紫外光を援用したGaN基板の研磨の基本特性の検討では、酸性におけるUVアシストの効果の確認、研磨盤上方からさらに短波長のUVを照射し酸化剤を活性化することによるさらなるアシスト効果の検討、そして、ダミー自立基板とエピ成長させたGaN基板の研磨特性の違いの評価を行った。 AFMによるスクラッチ加工では、Si,SiC基板と比較しながらGaN基板への加工の検討を行った。加工は純水中と、pH11のアルカリ中で行い荷重を変化させて加工特性を評価した。その結果、先行で行ったシリカ基板では、いずれの条件でも加工されたのに対し、Si基板では、純水中では、80μNの荷重付加、150μNとも加工痕が膨張し、その大きさは、前者で1~2、後者で2~3 nmであった。Si基板へのナノスクラッチでは、表面がアモルファスするとともに酸化することによって加工痕が膨張することが報告されており、純水中においても同様のことが起きたと考えられる。同様の実験をpH11のアルカリ液中で行うと低荷重では高さの変化はなく、高荷重では、2 nm程度加工することがわかった。これは、アルカリによる若干のエッチングがスクラッチの機械的効果にアシストされて、特に高荷重でアシストが大きく、加工が行われたと思われる。SiC基板でも、ほぼ同様のことが起こり、純水中で、高荷重で、3nm程度膨張し、この荷重でpH11で1nm程度加工されることが確認され、Siとスクラッチ加工の形態が類似していることが明らかになった。一方GaN基板は、純水において150μNでは変化がなく、350μNの大荷重をかけることによってようやく2.5nmの加工痕が形成され加工が難しい材料であることを示唆された。また、通常の光ファイバを用いてもUV光の導光ができることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GaN基板へのスクラッチ加工を本格化しようとしたところでAFM装置が故障した。カンチレバー位置を測定するセンサーのレーザの寿命であった。装置自体が1980年代製造のものであるためと思われる。当初現状で入手できるLDに交換したが、現状のものは当時のような小定格出力のものがなく、大出力のものを出力を絞って使った。しかしレーザは閾値近くで動作させると壊れやすいらしくすぐ発光しなくなった。そこで当時のものに近いレーザを探し使用することによって対処した。現在も復旧作業中である。また、この一連の作業の中で、カンチレバー裏面が荒れているとセンサーの感度が所定のものと大きく異なることもわかり、今後実験の中でより精度を上げるためにこのことを反映させていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
UV光を透過させるマルチモードの光ファイバを入手できそうであることが判明したため、これを入手し実験に用いる予定である。これは、光ファイバをGaN探針でスクラッチ加工する。あるいはGaN基板のスクラッチ加工近傍へ局所的な照射を用いる。また、GaN基板への液中でのスクラッチ加工では、触針の種類も変えながら、SiC、Si等他の基板と比較しながら行っていく。さらにスクラッチをディスクリートにピッチ開けて加工し、周辺のダメージの入り方を透過型電子顕微鏡観察もしながら検討を進めていく。
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