研究課題/領域番号 |
22K05435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
宮城 敦子 山形大学, 農学部, 准教授 (00645971)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シュウ酸 / イネ / CE-MS / ICL / エゾノギシギシ / 世界のイネ・コアコレクション / 日本のイネ・コアコレクション / GWAS / メタボローム解析 / CE-QQQ-MS |
研究開始時の研究の概要 |
シュウ酸は、ヒトや家畜にとって有毒物質であるため、ホウレンソウや稲わら等の高シュウ酸作物の低シュウ酸化が重要課題だが、植物のシュウ酸蓄積を支配する遺伝子は未だ不明である。そこで、本研究課題では葉にシュウ酸を蓄積するイネを材料とし、シュウ酸蓄積機構の遺伝子レベルでの解明を目的とする。まず、これまでに応募者が見出したシュウ酸蓄積候補遺伝子の逆遺伝学的解析を行う。次に、シュウ酸蓄積に影響を及ぼす新規遺伝子を探索するため、シュウ酸含有量の品種間差や、重イオンビーム照射によって得られた低シュウ酸系統を利用したゲノム比較解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究課題は作物におけるシュウ酸含量の低減を最終目標として、植物のシュウ酸蓄積機構の解明を目指すものである。 これまでに、我々はシュウ酸蓄積候補遺伝子の1つであるICLに関して、夜間(暗所)におけるシュウ酸蓄積に関与している可能性をRT-PCRおよびGUS染色による発現解析により示しており、また、ICL阻害剤であるイタコン酸を用いた解析でも暗所でのシュウ酸蓄積が抑制されることも示した。そこで、令和5年度はICLをノックダウンしたイネicl系統を作出し、出穂直後の止葉のサンプリングを行った。 一方で、他の植物、特に高シュウ酸植物においてもイネと同様に明暗でシュウ酸蓄積に寄与する経路が異なるかどうかは不明であった。そこで、我々はタデ科の高シュウ酸植物であるエゾノギシギシ(Rumex obtusifolius L.)を用いてイタコン酸を用いた生化学的実験を行った。すなわち、エゾノギシギシの新生葉実験系を用いてイタコン酸によるICL阻害実験を行い、CE-QQQ-MSを用いてシュウ酸含有量を測定した。その結果、イタコン酸を3週間与えた植物体の葉において、暗所ではシュウ酸蓄積量が激減したのに対し、明所ではほとんどシュウ酸含有量が減少しなかった。加えて、育成時の照度が低い場合には、明所でもイタコン酸によりシュウ酸蓄積量が抑制されることが明らかとなった。これらのことから、単子葉植物のイネだけではなく双子葉植物の高シュウ酸種でも暗所と明所でシュウ酸蓄積経路が異なること、また、光量によってシュウ酸蓄積に関わる合成経路の寄与率が異なることが本研究により初めて明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の成果である、イネの葉におけるシュウ酸蓄積量の品種間差や他の代謝物含量との相関性、GWASの結果を論文として発表することができたため。 また、シュウ酸蓄積候補遺伝子に関わるイネ変異体を作出してサンプリングを行うことができたことに加え、イタコン酸処理実験によって他の植物においてもシュウ酸合成経路が昼夜で異なることを証明することもでき、光量や光質がシュウ酸合成経路の寄与率に影響する可能性も見出したため。
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今後の研究の推進方策 |
作出したシュウ酸蓄積候補遺伝子の変異体の葉における代謝解析を行うことにより、候補遺伝子がシュウ酸蓄積に及ぼす影響を明らかにする。 光の明るさによって植物のシュウ酸蓄積経路が異なることが示唆されたため、今後は照度や光質がシュウ酸蓄積に及ぼす影響を明らかにする。また、イネの染色体部分置換系統のメタボローム解析を進めることにより、明所におけるシュウ酸蓄積に寄与する経路の特定を目指す。
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